ミネラルについて「まとめ その2」

 栄養学ではタンパク、脂肪、糖質を三大栄養素といい、これにビタミン・ミネラル類を加え五大栄養素と呼びます。栄養学でビタミン・ミネラル類の成分が重要視される理由の1つには、これらの栄養素がおたがいにつながりがあり、脂肪や糖質を体の中で有効に代謝させるためビタミン類が必要で、このビタミンの働きを効果的に発揮させるためにミネラルが必要ということがあげられます。
 どのミネラルとビタミンが密接にかかわっているかといいますと、亜鉛とビタミンA、マグネシウムとビタミンB群、カルシウムとビタミンC、セレンとビタミンEなどですが、これに限らず新陳代謝やエネルギーの産生向上のためには、ビタミンB群の利用にリンとカルシウムが必要であったりもします。そして、ミネラルの吸収を高めるためにはタンパク質が分解されてできるアミノ酸が必要になります。ミネラル単体では腸管から吸収されにくく、アミノ酸と結合することでアミノ酸が運搬役になり吸収が容易になるのです。海草から発見されたアミノ酸とドッキングしたカルシウムの吸収が良いのは、その一例です。
 これはビタミンについてもいえます。ビタミンCを世界ではじめて結晶として取り出したのは、ハンガリーのノーベル賞学者のセント・ジョルジ博士ですが、博士は同時に単体として取り出したビタミンCが、赤ピーマンの濃縮物の中にあるビタミンCと比較し、その生化学的活性がはるかに劣っていることも発見しました。博士の後輩のアンデイ・シャレー博士はこのことに疑問を抱き研究を続けた結果、赤ピーマンに含まれているビタミンCは単体ではなく、成分の一部が粗タンパクと結合していることを発見しました。これが吸収力の大きな差の原因だったのです。
 身体に取り入れられたビタミンやミネラルの多くは、酵素の一部つまり補酵素として働きますが、その酵素の主体はタンパク質で、このように微量栄養素とタンパク質は機能的に密接に結び付いているのです。いま、必須ミネラルといわれる元素は16種類、ビタミンは13種類あるのですが、これらはたがいにバランスを取り合いながら働いています。したがって、これら微量栄養素は過不足なく摂取することが健康のためには大切なのです。昔から「好き嫌いなく何でも食べよ」といわれたのは、理にかなったことなのです。
 しかし、今日では食物の精製・加工が進み、ビタミンやミネラルの含有量が少なくなったものが多く、また偏食の人が増え、さらにストレス過剰が追い打ちをかけています。ストレスが大きいと体からビタミンやミネラルがどんどん消耗されていきます(ストレス22回27回参照)。こういう時こそ、あらゆる微量栄養素を含んだ食品が有効に働いてくれるのです。日本食であればほぼ補うことができます。
 もし、微量栄養素が十分摂取できない場合はスピルリナ、乾燥酵母やレバーなどが、多種多様なビタミン・ミネラルとともに良質のタンパク質を多く含んでいるため、栄養バランスの改善に役立つと思われます。健康食品では米国から輸入のメガフード・アルファがあります。天然のビタミンとミネラルを特殊な酵母菌のなかで育成させることによって、ビタミン・ミネラルとタンパク質を結合させ、約100種の栄養成分が含まれているといわれます。偏食の人にはメガフード・アルファやミネラルパワーを取るのも良いでしょう。
 また、個人により、組織により感受性は違います。組織の敏捷性は体内のイオンの比に影響されるといわれます。その痛みなどに対する過敏性を表す式がありますので、これについて少し述べておきます。それは(Na+プラスK+プラスOH-)÷(Ca2+プラスMg2+プラスH+)で示され、この比が大きくなると痛みに敏感になるといわれています。つまり分子のナトリウム、カリウム、水素イオンが多くなり、分母のカルシウム、マグネシウム、水素イオンが少なくなるほど、痛みを強く感じるようになるわけです。
 換言すれば、カルシウムを多く取り、ナトリウムを控えることが痛みを軽減させるポイントということになるのです。頭痛など疼痛の治療を受けている最中に、塩分を多く取っていたのではなかなか良くならないということを意味し、リウマチや関節炎をはじめ疼痛性の疾病には塩分を減らすことが大切なことです。以前にも述べましたグルソン療法(ミネラルについて63回参照)でも、塩分を極力減らすよう指導しているようです。とくに慢性病の治療においては塩分とともにタンパク質と脂肪も極力減らすように指示されます。
 マグネシウムは胚芽やヌカに多いので、できるだけ農薬散布の少ない雑穀を食べることも大切です。また、体内に種々の薬物がはいってきますと、貴重なビタミン類もその解毒に関与し排泄が盛んに行われるようになります。例えば、薬物の解毒にはビタミンCやB群、ビタミンEが消耗され、肝臓などに貯えられているビタミンAも減少します。
 我々は無意識に、日常さまざまな薬物を取り込んでいます。それらを解毒、代謝、無毒化するために、カルシウム、マグネシウム、イオウなどの準主要元素、鉄、セレン、ヨードなど微量元素やビタミン類も不足しないように取る必要があるのです。好き嫌いをやめ、良質のタンパク質をはじめ海草や野菜などバランスよく取りたいものです。
 ミネラルはたくさんの働きが今日解明されてきています。大切なミネラルについて概ね述べましたので、一応これでミネラルの話は終わります。次回は脳卒中について述べる予定でいます。

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