アトピーについて「イオンミネラルを多く取れ!」

 アトピー性皮膚炎の方の多くは乾燥肌の人といっても過言ではありません。これは皮脂の分泌が悪く、保湿機能が大幅に低下しますので、症状を厄介なものにしている一つと考えられます。皮膚の防御機能は、表面の細胞がお互いにピッタリとくっつき合い、外からの異物を侵入させず、体内の必要なものを外に出さないように働いていることです。皮膚表面は皮脂でおおわれています。これは皮膚腺から分泌され、弱酸性のごく薄い膜をつくって、皮膚表面をおおっているので、外部から有害な菌などの侵入をが防いでいます。健康な皮膚は、表面が水つまり汗と脂が適度に混ざり合ったエマルジョンを形成し、乾燥や細菌感染などを防止しています。
 ところが、湿疹などの病変のある皮膚は隙間だらけで、汚れやダニ、化学物質などが入りやすくなります。健康な皮膚が新しい屋根とすれば、湿疹のある皮膚は穴だらけの屋根ということになります。それに加え、特に子供は大人に比べると皮脂の分泌が少なく、保湿機能も弱いのです。若い人には嫌われるニキビも、アトピーの人にとっては大変ありがたいもので、もしニキビができるようになったら、アトピーの良くなる兆候と思って良いのです。
 皮脂の関係から考えますと、アトピーとニキビは正反対の位置にあるといえます。つまり、アトピーは皮脂が少なくて皮膚が乾燥してしまう結果起き、他方、ニキビは皮脂の分泌が多すぎて、毛穴がつまり炎症が起こるのです。アトピーの人は常に皮膚を清潔に保つことが必要ですが、かといって皮脂をはぎ取るような洗い方はかえって、症状を悪化させる結果になりかねません。しかし、そのまま水洗いだけという訳にもいきません。
 私はアトピー性皮膚炎がひどく現れているところは、その皮膚の下には多かれ少なかれ慢性筋肉疲労が存在すると考えています。皮膚を傷つけないように丹念に押さえて慢性筋肉疲労を解消していくと、体液循環が改善され皮膚に栄養や酸素が供給され3カ月くらいで、皮脂の出方が多くなる場合があります。(35回39回参照)。また、皮膚の老化やアトピーなどでは最初に皮脂の過酸化を防止することが大切です。アトピー患者では皮脂の分泌が少ないばかりでなく、健康な人に比べて化学的に不安定で、空気や紫外線に当たると酸化され過酸化脂質を作ることも原因という報告があります。
 皮膚の一番外層はケラチンというタンパク質が網目状に並び弾力性のある角質構造になっていますが、過酸化脂質が生ずると構造が乱され水分の保持能力も失われます。また皮膚表面をおおっている皮脂膜も作られにくくなります。アトピー患者では、外界の刺激から皮膚を守る皮脂膜や角層がうまくできないため、衣服がこすれる、髪の毛先がさわるなど、些細な物理的刺激でも、すぐ炎症を起こしてしまいます。よって首、手や足の関節の内側など、こすれやすいところに湿疹ができやすいのです。
 健康な人の皮膚では、過酸化脂質を作る活性酵素ができても、SODなどの酵素の作用ですぐに除去されてしまいますが、アトピーの人ではこの酵素が少ないといわれています。活性酵素や過酸化脂質を作らないために、抗酸化作用のあるビタミンやβ-カロチン、水溶性ミネラル、フラボノイドやボリフェール、タンニンなどを十分に補っておくことが大切です。
 外国ではアトピーと微量ミネラルとの関係について研究されており、アトピー性皮膚炎は、セレンや亜鉛の不足と関係があるのではないかという報告があります。アトピーの過酸化脂質原因説でいえばこの研究結果は納得できます。といいますのは、セレンは活性酸素や過酸化脂質を分解、除去するグルタチオン・ベルオキシターゼという酵素の心臓部つまり活性中心をなし、また鉄はチトクロームP450酵素を、亜鉛、銅、マンガンは先のSOD酵素の活性中心として必須のミネラルだからです。このようにミネラルは様々な酵素の中心的な役割を担う大切な物質です。これらのミネラル不足は、活性酵素の生成を許し、酸化脂質を増加させます。ちなみに、この考え方はガンでもほぼ同様の事が考えられます。(46回53回参照)。
 実際に、アトピーが亜鉛の不足が原因で生じた症例の報告があります。その患者は皮膚がカサカサしていただけでなく、指先がむけてタダレていました。そこで血中の亜鉛濃度を調べた結果、かなり低いため亜鉛強化牛乳を毎日飲用したところ、血中の亜鉛濃度は正常になり、それとともに指先の症状も改善されたことが報告されています。亜鉛は新しい細胞が作られるとき核の合成に働く酵素(DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ)の中心でもあり、これが不足すると皮膚細胞が作られにくくなり、症状の治癒は遅れることになると考えられます。アトピー症状に限らず、なにか変わった症状が現れたら血中のミネラルを調べる必要があります。
 特に大切なことは水溶性のイオンミネラルを摂取することです。イオンミネラルは変化することなく、さまざまな酵素に活用されます。つまり、カタライザー(解媒)として働くのです。イオン化されていないミネラルはなかなか体内に吸収されることはありませんので、ほうれん草に鉄が多いなどといっても、それがそのまま体内に吸収されることはありません。水や油に溶け込んだミネラルがイオン化したミネラルなのです。特に大切なのは必須ミネラルといわれるもので、カルシウム、鉄、カリウム、リン、マグネシウム、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、ナトリウム、硫黄、モリブデン、クロム、コバルト(54回68回参照)で、これが水溶性になったものをイオンミネラルカタライザー(水溶性微量金属元素解媒)と呼んでいます。アトピーに関わらず健康になりたい方はミネラルバランスの良い構造化した水、例えば、少し冷やした蓮根の卸汁を摂取することは大変良いことだと思います。

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