癌について「ストレスがガンを招く」

 「水」の章で、アルカリイオン水の長期飲用は避けた方がよいと述べました。それについて多くの質問が寄せられましたので、少し触れておきます。腸内善玉菌のビフィズス菌はpHが弱酸性の方が定着しやすく、アルカリ側では定着しにくい細菌です。また腸は生理的にpHがアルカリ側へ傾く傾向にあります。したがって、ビフィズス菌の定着は容易ではありません。
 その反対に腸内悪玉細菌のクロストリジュウム族はアルカリ性を好み、生理的にも悪玉菌をのさばらすことになります。しかし、胃酸のpHは2と非常に低く、少しのアルカリイオン水では問題ないのですが、一度に200ccを越えて飲用すると一部は胃を素通りして腸に達します。これがよけいに悪玉菌をのさばらす結果になります。
 アルカリイオン水を長期に飲むと便の異臭が軽減します。この状態がよいのだと誤解される方が多いようです。腸内細菌はおおむねpH5~8くらいが生息範囲です。それをこえて生きられる細菌は少なく、コレラ菌、クロストリジュウム族ぐらいです。pH9以上アルカリ側になると、クロストリジュウム族は活動を一時停止して、条件が整えば再び活動を開始する状態の芽胞になり、腐敗活動も止まります。かたや、ビフィズス菌は死滅し便とともに排泄されます。
 このため便の異臭が軽減するのは当前のことですが、一度悪環境になった腸に再度ビフィズス菌を定着させることは容易ではありません。アルカリイオン水はpH9を越えるものが多く、これを飲んでいる限り不可能と考えられます。それでは少しづつ飲めばいいのではと思われるかもしれませんが、前にも述べましたように、血液のpHは7.3~7.4に厳しくコントロールされており、0.1狂っても死にいたらしめるもので、ある種のストレスが加わったときや非常に疲れたとき血液はpH7.3に近づきます。この時に一時的にアルカリイオン水を飲用することはよいことだと思いますが、長期飲用は避けた方が賢明です。また、腐っている水は下痢を起こしますが、無菌のミネラルウォーターなどでは便通に変化は起こりません。
 しかし、無菌の六分子構造水を飲用するとさまざまな変化が起こります。体内に構造水が少なくて胃腸の働きのよい人は便秘、構造水が少なくて胃腸の働きの悪い人は下痢、構造水がある程度あり健康な人は軟便になります。つまり、身体が構造水を必要としている割合と腸の吸収能力、体調によって便秘、下痢、軟便の差が生じるといえます。弱アルカリ性の六分子構造水の飲用は腸内を弱酸性に保ちやすく、善玉のビフィズス菌が増殖しやすい環境にするようです。
 この連載の22回27回で述べましたが、現代はストレスの時代です。このストレスが意外に腸内環境の汚染に加勢しているのです。体にストレスが加わると、多くの微量栄養素が、これに対抗するために消費されます。とくにビタミンC~Eやカルシウム、マグネシウムなどは不足しやすいので、活性酸素の害の増加や、DNAヌクレアーゼなどが不足することになり、ガンの発生を許してしまう結果になりかねません。気をつけて微量栄養素を摂るようにしてください。また、ストレスにより筋肉の慢性疲労が起こり、そのために体液循環が抑制され栄養不順におちいり、免疫細胞が正常に働いたとしてもガン細胞に到達しづらく、ガン細胞を攻撃する力が不足、見過ごす結果になりかねません。
 ガン以外にも、腸内細菌叢はいろいろの疾病に関与しています。例えば、まだ原因のはっきりしていない痴呆(ボケ)、その中でも比較的若い年代に見られるアルツハイマー病の腸内細菌は、善玉のビフィズス菌が減って、悪玉のパーフリンゲンス菌が著しく増加しているといいます。しかし、これはパーフリンゲンスが先か、アルツハイマー病が先か議論が分かれるところです。いずれにせよ、腸内細菌のバランスを崩していけないことは確かです。
 このように汚れた腸内環境をクリーンにし、善玉細菌優位の細菌叢に復元することが大切です。とくにビフィズス菌を増やす方法として、ビフィズス菌の飲用は大切ですが、胃酸で殺菌されることもあって、腸に生息するのは容易ではありません。そこで、胃酸で溶けず腸で溶けるようミニカプセルに入れて服用するなどの工夫をするといいでしょう。ビフィズス菌の中には一部の発ガン物質を分解する働きもあるといわれています。
 ビフィズス菌の腸における生息率の向上に威力を発揮するのがオリゴ糖です。オリゴ糖は人の消化酵素では分解・吸収されず、腸へ到達してビフィズス菌のエサとなり、増殖を促す働きがあるのです。とくに乳果オリゴ糖はその作用が強いといわれます。健康を維持するためには腸内にビフィズス菌が30%以上占めることが一つの目安といわれます。摂取前はビフィズス菌が腸内細菌全体の10%しかなかった人が、約1週間後に38%まで増えた例が報告されています。また、便秘の人はセンイ質の多い食事(食物繊維)を摂れば、脂肪分や発ガン物質を吸着して、吸収を抑制し、センイが腸管を刺激して便を促すのにも役立つので、心掛けて摂るようにしたいものです。

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