タバコと骨粗鬆症「タバコは善ですか? 悪ですか?」

 あなたはタバコを吸いますか。米国や英国などにくらべ日本ではまだまだ喫煙家は多いようです。肩コリという言葉も日本では日常茶飯事に使っています。しかし、米国や英国には肩コリという表現はなく、言葉で認識されないことは感覚も認識できないと言われています。このように喫煙やコリが国によって違うのは文化的な背景が大きく影響していると考えられ、このことは孝え方や気持ちの持ち方がコリと何らかの関係があることを意味しています。
 筋肉はカルシウムによって筋収縮を起こします。カルシウムは筋肉の収縮が終わったら、また筋小胞体の中に戻らなければなりません。カルシウムが出たままでは筋肉は収縮したままになり、これがコリとなります。これら筋肉の収縮・弛緩にはエネルギーが必要です。そのエネルギーを作るのは細胞一個一個であり、細胞へは毛細血管を経て、あるいは浸潤して酸素や栄養素が送られています(22回35回参照)。エネルギーを十分に取り出すためには、血液が体内をスムーズに流れていなければなりません。
 そこで興味ある報告を述べますと、メルボルン大のホッパー博士らが双子の姉妹41組の喫煙と骨の関係を調べたところ、タバコ愛好者は吸わない人に比べて早く骨粗鬆症になるとの報告があります。女性が20代からタバコを吸いはじめ、1日1箱のペースで吸い続けると、閉経期には吸わない人に比べて、骨の量が平均して5~10%少なくなり、骨粗鬆症になる危険が非常に高まるという結果が得られました。
 女性ホルモンのエストロゲンには、骨からカルシウムが溶け出すのを抑える働きがあり、タバコはこのホルモンの作用を妨げるというのです。同様の結果は日本でも確認されていて、予防癌学研究所長の平山雄博士の研究結果でも、タバコを吸う女性は吸わない女性に比べて、大腿骨頭部(足の付け根)の骨折が2.3倍も高く、特に1日に15本以上吸う人は約4倍も多かったといいます。
 最近「軽いタバコ」が良く売れているようです。しかしタバコにはニコチンやタール、一酸化炭素など有害物質がいっぱい含まれています。愛煙家の多くはニコチン依存症ですから、血中ニコチン濃度を自分の体に合った値に保とうとする「自己調整能」が働くのです。そのために吸う本数が増えたり、煙を深く吸い込んだりして、結局、ニコチンやタールの多いタバコをいつもの本教吸ったのとあまり変わらない状態になるのです。
 また国立がんセンターの永田親義博士によると、タバコからは過酸化水素という活性酸素が発生します。タバコの害の多くはこの活性酸素に起因するといわれます。過酸化水素は活性酸素の中では有害作用の一番弱いものですが、毎日多量に吸うためにその量が積み重ねられていくのです。それが長い間には大きな骨量の差や骨折率の差となって現われるのです。
 体内には過酸化水素を水と無害な酸素にする酵素があります。カタラーゼとグルタチオンペルオキシダーゼで、癌などの生活習慣病の予防にも大いなる働きをしています。前者は鉄酵素であり、後者はセレン酵素であり、酵素の主体である良質のタンパク質とともに、これらのミネラルが十分になければ、タバコの害はより一層増大することでしょう。鉄分は割合摂取しやすいのに対し、セレンは玉葱、ラッキョウ、ニンニクなどに含まれてはいるのですが、必要量の摂取はなかなか困難です。セレン摂取には無機のセレンを採るよりも、有機塩、アミノ酸のキレート結合のセレンを採る方が効率的ですが、より安全で効率的なのが栄養補助食品でイースト菌にセレンを食べさせたもの(現在市販されているのはミネラルイースト・日本タイニス社製のみで、厚生省の認可済み)を用いるとよいでしょう。加えて抗酸化物質(ビタミンA・C・E・B2・β-カロチンなど)も必要であると言われています。また、イースト菌にはビタミンB群が豊富に含まれているため、活性酸素の害から細胞を守るのに役立ちます。
 さらにホッパー博士らの実験では、緑黄色野菜や魚介類を毎日食べている人は、骨折を起こしにくかったそうです。これは骨を丈夫にするカルシウムが多いためと説明されています。しかし、私はそれだけでなく、毎日こうした抗酸化要素が多く摂取されていたためと考えています。
 また、喫煙は血管を一時的に収縮させて血行不順をもたらし、これがエネルギー不足につながり慢性筋肉疲労を助長することも事実です。そういった観点からも喫煙は「百害あって一利無し」という格言は的を得ているかも知れません。しかし、一休みしてホッとため息を付くために、タバコが役立ち、コリの解消に役立つ場合もあります。O-リングテストなどの筋肉テストを行って、その人に過ぎない量のタバコで息抜きのために一服することは、ストレスの緩和に良い結果をもたらす場合もあると考えられます。

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