中日新聞に第3回日本顎頭蓋機能学会学術大会研究発表の記事掲載

■離れた部位のねんざも原因──あごの関節症
 あごががくがくしたり痛んだり、口が開きにくくなるがく関節症は、患者が直接異常を感じる部位からは離れた個所のねんざなどが原因となっている場合があるとする分析結果を、三重県鈴鹿市の歯科医師がまとめた。これまで顎関節症は、かみ合わせの異常やストレスから起きる血流異常などが原因とされてきており、専門家も同医師の指摘に注目している。9日に大阪市で開かれる第3回日本顎頭蓋がくとうがい機能学会で報告される。
 報告するのは同市長太旭町、あさひ歯科の堀泰典医師(39)。この10年間に自分で診察、治療した顎関節症患者639人のデータを分析した。
 その結果、患者のほとんどは、ストレスに起因するあごの周辺の筋肉疲労や筋肉のズレが顎関節症の原因となっていることが分かった。さらに、足首のねんざなど、症状が出ているあごの周辺とは離れた遠隔部位の異常が引きがねとなり、筋肉の経絡(筋反射)を伝って顎関節症を起こしているケースが1割以上あることも明らかになった。
 堀医師は、遠隔部位の治療をした上で直接症状の出ている個所を治療する方法をとり、あごの周辺の筋肉治療はマッサージや指圧に似た手技療法で好結果を得ているとしている。顎関節症は成長期や老年期に多く見られ、近年患者数が増えている。
 堀医師は「顎関節症の原因は多岐にわたっているが、遠隔部位異常によるものは、気づかないまま治療すると再発する可能性が高い」と指摘している。

■療法普及に可能性
 兼松宣武・朝日大歯学部教授(口腔外科第2講座)の話 遠隔部位を起因とする筋肉異常が顎関節症の原因になるという指摘は、多くの症例を基にしているだけに注目される。手技療法も効果をあげているようであり、一つの療法として普及していく可能性がある。ただ、臨床の場で効果があっても、そのメカニズムを医学的に明らかにする必要がある。

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