アトピーについて「新陳代謝は28+年齢」

 いつまでも美しい肌でありたいという願いは女性の大いなる願望であり、永遠のテーマではないでしょうか。そのために化粧品などを使ってさまざまな努力をされますが、私たちの肌がどのようになっているか、一応の理解をされている人の方が効果が上がることは言うまでもありません。そこで美しくなるための基礎として、まず私たちの肌の構造を説明しましょう。
 皮膚は表皮と真皮に分かれており、両方合わせても厚さは2mmほどしかありません。表皮は0.2mmくらいのごく薄い層で、この層がさらに数層に分かれていて、一番外側が角質層(ケラチン層)です。また角質層の外には皮脂膜という油の膜があり外界からの刺激を防いでいます。この皮脂と汗腺から出る水分の混じったエマルジョンが、皮膚に潤いを与えています。真皮には表皮にはない、血管や神経がきています。この血管によって栄養や酸素が送りこまれ、新しい細胞が生まれます。
 表皮は手掌や足の裏の表皮が5層、そこを除く表皮は普通4層から成っています。その一番下の層を基底層といい、ここにできた細胞は2つに細胞分裂し、新しく細胞ができます。その内の1つが上に押し上げられ、形が変形し棘(いばら)のある有棘細胞になり、またそれが2つに細胞分裂して上に押し上げられ、細胞内にケラチンを点在させた顆粒層になり、これも上に押し上げられ、一番上の皮膚表面の細胞つまり角質層になります。
 このように細胞は順々に押し上に上がっていき、最終的には俗にいう垢となってはがれて落ちます。このように新しく基底層に誕生した細胞が、順々に押し上げられ、最後は垢となって落ちていくサイクルを「新陳代謝」といいます。
 若く美しい肌というのは新陳代謝の速度が早く、そのピークは20歳頃で、以後はだんだん衰えていきます。この衰えをいかに取り戻すかが美容の秘訣といっても過言ではありません。ではシミ、小じわ、肌荒れなどのトラブルは、どうして起こるのでしょうか。
 まず、皮膚の血液の流れが悪くなることが考えられます。血液の流れが悪くなると、栄養や酸素の供給が悪くなり、新しい細胞が栄養不足の状態で生まれることになります。これが長く続くと、小じわや肌荒れが起こります。シミはメラニン色素と関係があります。メラニン色素は日光が皮膚に当たるとできるのですが、その中で波長が短い紫外線がメラニン色素を増やし、シミをつくる原因になります。
 紫外線には3種類あり、波長が長いものをUVA(皮膚を黒くする)、波長の短いものをUVB(皮膚を赤くする)、波長がもっと短いものをUVC(皮膚癌を発症させる)といいます。紫外線は皮膚の奥底まで入って組織を破壊します。これが続くと黒皮症や皮膚ガンなどの原因になりますので、皮膚は防衛反応として基底層にメラニン色素をつくってこれを防ぎます。こうして肌は紫外線の害から守られるのです。
 また、メラニン色素は肌の色を決めるものです。例えば、夏、海に行って紫外線にあたると、色が黒くなります。しかし皮膚は新陳代謝しており、一定のサイクルでこのメラニン色素は押し上げられ、落ちてなくなります。この細胞の新陳代謝のサイクルは年齢によって異なることはいうまでもありません。0歳では、人間の1カ月(生理)のサイクル、つまり28日で新陳代謝を行っているといわれますが、年齢を重ねるごとに、おおむね、28日にその人の年齢を足した日数が新陳代謝が行われるのに要する日数だと私は考えています。
 例えば30歳の人なら28+30=58で、メラニン色素がはがれ落ちるのに、58日間必要だと考えています。同じく42歳の人なら70日というように年齢とともにどんどん遅くなっていきます。この考えからいいますと、42歳の人が8月1日に日焼けしたとしますと、10月中旬には元の白い肌に戻っていなければいけないはずです。しかし、今日は環境汚染にともない新陳代謝能力が低下している方が多く、メラニン色素が一部分だけ残ることによりシミになると考えられます。
 ではなぜほとんどの人が同じところにシミやアトピーができるのでしょうか。アトピーではアレルギーに加え、シミではアレルギーと関係なく私は次の原因が挙げられると考えています。

  1. トリガーポイント(血液循環を阻害し、その場を栄養阻害に陥らせます。これが新陳代謝を遅らせている原因の1つだと考えています。第38回コリの生理学的解釈参照)
  2. 細菌感染による炎症症状の悪化に起因する血液循環障害。
  3. 臓器からの皮膚反射による血液循環障害。
  4. 手足や腰などの筋肉の歪みによる筋経路反射に由来する血液循環障害など。
  5. 外的物理、化学的刺激が加えられやすい。が挙げられると思います。

 それらの部位が皮膚障害を起こしやすい場所であり、回復しにくい場所と考えられます。このように美容のためにも、トリガーポイントを解消し血液循環を正常に保つように気をつけ、また直接肌に付ける化粧水はできるだけ添加物の含まれないものを選び使用することが望ましいと思います。

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