いびき・睡眠時無呼吸症候群について「いびきと痔は仲良しだ」

 あなたはイビキをしていませんか。睡眠と切り離せないものにイビキがあります。イビキをかく人は血圧が高い人に多いといわれています。また、私たちは寝入って浅い睡眠に入ると、筋肉が弛緩して気道が狭くなり、イビキをかきやすくなるといわれています。
 イビキがひどい場合は呼吸が一時的に止まったり、長く止まってしまうことがあります。とくに心臓が弱っている人や脳卒中を起こしている人の無呼吸は長いことが多く、時には1分間を越えることがあります。その場合、交感神経が興奮するため、血管が収縮して血圧が上がります。この睡眠時無呼吸が一晩の間に30回以上あるいは一時間に5回以上みられる場合は、睡眠時無呼吸症候群と呼ばれ、血中の酸素不足の状態が睡眠中繰り返し起きることになります。
 その結果、血圧上昇が持続し、夜中の高血圧が起きるのです。このイビキをともなう高血圧は薬が効きにくいといわれております。さらに睡眠時無呼吸は血圧を上げるばかりでなく、不整脈を起こすともいわれており、注意しなければなりません。太っている人はまずやせることであります。高血圧は成人期以降、年をとるにつれて頻度が高くなり、食生活を含めた生活そのものが高血圧や心臓血管病に関係しています。したがって、最近は、専門家の間でも血圧がとくに高い場合をのぞき、数カ月くらいは薬を使わず、生活習慣の是正をしながら経過を観察することが多くなりました。
 また、高血圧で肥満体の人がイビキをしやすいというのは確かで、そういう人は口呼吸をしやすいのです。つまり、口呼吸の人は多かれ少なかれウブラ(ノドチンコ)が振動し、イビキをかいているのです。それでは先に述べました睡眠により、筋肉が弛緩して気道が狭くなり、イビキをかきやすくなるというのは、本当でしょうか。それは大きな間違いだとわたしは考えています。
 呼吸を司る筋肉群のすべてが、本当に弛緩したらイビキはなくなるのです。その証拠に肥満体の人のみならず、中肉中背の人も、やせていて正常な血圧の人でもイビキをする人がいます。このような人は首の回り、胸の呼吸筋群、顎、顔面の筋肉は固く、その中でも「ジャリジャリ」とか「ヌルヌル」とした硬い筋硬結が指に触れます。これを圧迫しますと飛び上がるように痛がります。
 この筋硬結をていねいに圧迫し、なくなったことを想像しながら繰り返していますと、痛みととみに筋硬結も徐々に消失していきます。硬結がすべてなくなると、筋肉が睡眠中に弛緩できる状態になります。それに加え、遠隔部位の股関節の筋緊張を同じように取りますと、仙骨からでている迷走神経(これは副交感神経)の働きで血管を弛緩させます。股関節から尾骨にかけての刺激は血液、リンパ液の循環を改善し、これにともないイビキが消失することが多いのです。
 痔は血液の循環不全であり、この方法で改善するケースが多くありますのでお試し下さい。あなたも一度、顎の下を強く押してみてみて下さい。鼻で息ができますか。鼻で呼吸しにくいはずです。この状態の軽いのが筋硬結です。つまり、筋肉の慢性疲労(筋硬結)が頭顔面を含む呼吸筋の一部にありますと、そのほかの筋肉がいくら弛緩しても鼻呼吸がしにくく、ウブラが腫れた状態になります。浮腫が生じると、笛でいうリードの働きをすることになり、なおかつ咽頭にも浮腫が起きている場合にはイビキが共鳴音として響き、音を出す結果になるのです。
 つまりイビキは鼻、ウブラ、咽頭などの頭頚部顔面のリンパ液の循環不全であり、口呼吸の最たるものです。「鼻呼吸の重要性について」を参照して下さい。近年、ウブラを小さくする手術が行われることがありますが、その前にわたしが述べたことをぜひ一度試してみて下さい。次回は歯ぎしりについて述べます。

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