現代医学に疑問や不安を抱くあなたへ「間違った養生法は万病の元!?」

 「最初に人ありき」。いかにすれば健康を取り戻すための手助けができるのかということで、まず話を進めていきたいと思います。
 古今東西を問わず、病気や死への不安があったにも関わらず、現代ほどその予防法に対する関心が高まっている時代はないと思われます。人間、誰しも病気や死ぬことは好きではありません。従って、昔から健康管理や長寿に対する願望は強かったはずです。かつては、病気になってから、もしくは老病死が目前に迫ってから初めてあわてふためき、近代以前の社会では神仏や宗教に救いを求め、近代以後には現代医学に病気の治療を求めてきました。
 ところが近年、社会の情勢が安定し、時間をかけて健康問題を考える余裕が出てくると、新たにエイズ、膠原病、アトピー、鼻炎といった免疫疾患をはじめ、成人病(生活習慣病)など病気が減るどころか、増える傾向にさえあると誰もが感じ、現代医学の治療には限界があることに気づき始めたのではないでしょうか。
 例えば、外科的に手術ができるようになったとはいえ、重要な臓器の一部を切り取り捨てるだけで、機能を元に戻すわけではありません。また、内科的には薬による治療が可能になったとはいえ、慢性病にはほとんど無力であり、逆に副作用が心配されます。少しばかり長生きできたとしても、「生き甲斐もなく寝たきりでは」などと考えるようになってきました。
 そこで多くの人達の関心がいわゆる低カロリー、低塩、高カルシウム、高蛋白という健康食ブームに拍車をかけ、興味が集まり、規則正しいバランスのとれた食事療法、運動療法など現代医学のすすめる病気予防法、さらには現代医学がむしろ否定している漢方医学や絶食療法、鍼灸指圧、ヨーガ、気功術、尿療法などの健康法、はては御加持、シャーマニズムなどに及び、まさに異常ではと思えるほどです。
 このような要求に触発されて、多くの医療従事者が自分の信じる健康法を数多く主張するようになってきました。しかしながら、個々にそぐわない養生法はかえって健康を害することに気づいていないのです。ならばむしろ全く何も養生しないでストレスを抜いて寝ている方がよいといえます。ところが、多くの人はどれが正しい養生法なのか反省してみる余裕はなく、十分選択し検討する知識もありません。ただ単に直感で正しいと思える養生法を、盲信的に取り込み実行するしか方法がないのです。
 このような現実をみるにつけ、私は常々感じてきた西洋医学の歴史の浅さを痛感してしまいます。一方、東洋医学の歴史は三千年と長いが、抽象的で理論に矛盾のあるものや、正しい部分の内容を過大解釈し、結果的には間違ったものになっている場合も多かれ少なかれあります。その上、病気に対する人間の精神面の影響を重要視するあまり、神秘的な手法を強調する傾向があるようで、神秘性を好む人には教信性を、理論性を好む人たちには非科学性を感じさせる結果になりがちのようです。
 あたかも、現代科学の著しい発展は、人体の神秘を100%ちかく明らかにしたかのような錯覚に陥らせているのではないでしょうか。しかし、実際にはそれほど解明されていないのが現実なのです。この認識がないことはたいへん恐ろしい限りです。これらの事を鑑みながら次回から、人体の生理を理論的に理解しやすく説明し、あなたに合った養生法を見つけていきましょう。

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