前回に続いて、本論の反射帯について述べますと、内臓や器官に以上があると、その部分と関連する体表にこりや痛み、吹き出物、はたまた、シミが現れることを「内蔵体壁反射」といいます。
例えば、肝臓疾患がある場合、肝臓周辺のみならず、脊柱、腰部、胸部、顔面、頭部、手足など全員の各部にわたって肝臓に関連する反射点に、こりや痛み、吹き出物やシミが現れます。
エステティシャンはこの反射帯を利用し有効的に効果を得られる場合があります。
私の知人は、腎のところにシミが十数年前よりあり、段々色が濃くなってきました。その後、腎に癌が見つかりました。これが内蔵体壁反射の一例です。
人体は1個の受精卵が細胞分裂を繰り返し成長する過程において、分裂した細胞は一時期放射状に並び桑実胚を形成し、その後も分裂を繰り返し横に並び、その後複雑に入り込み各部臓器を形成し人体になっていきます。
イギリスのヘッド医師は細胞分裂で細胞が脊柱に対して横に並んだ桑実胚のときの影響が人体にあるはずだと考え、脊髄を基礎に人体を横に区分した反応帯を形成すると言う説「断区体制説」を提唱しました。
また、フランスのマルチーニ博士は細胞が脊髄に対して縦に並び胞胚を形成し、人体は脊髄を基礎に平行に縦に区分された反応帯を形成しているはずだと考え、これを「輪区体制」を提唱しました。
これは、あくまで顕微鏡で平面的に捕らえた概念ですが、現実的にも存在するのです。
輪区体制を示す一例として、ベトナムのグェン博士は、「胎児の早い時期に一方の眼を傷つけると、その側の下肢の発育が乱れる」という報告をしています。
また明海大学の外崎教授と私は、「水に浮き下顎を左に振ると体も左に振られる現象がおこるが、中枢神経を介している場合は下顎を左に振ると体を右に振られなければならない。つまり、同側性の反射が神経を介す事なく起こっているはずである」と考えています。
この現象はグェン博士の結果と同じものです。
反射が起こるのは、全身にくまなくめぐっている神経系統が働くためかも知れませんし、医学的に解明されていない経路があるのかも知れません。
よく言われるのに、ヨーガの行者の達人は深く瞑想すると、人体の縦割と横割の経路を見ることができるといいます。
日本の内蔵体壁反射の草分け的存在は、石川太刀雄 金沢大学医学部教授で1951年に内蔵体壁反射の研究が開始され、同時に皮電計を開発されています。
文章にすると難しいのですが、体壁反射部位にストレッチ、直圧、バイブレーションを与えればよいのです。