血液はpH7.40±0.5にコントロールされており、その維持に幾重にも防御壁があり、これを恒常性維持機構(ホメオスタ-シス)といいます。
血液のホメオスターシスは重炭酸塩、タンパク質、赤血球などの働きによるところが大きく、その他アミノ酸、必須ミネラルなどの働きによります。
特に血液がスム-ズに流れるためには赤血球の表面積が大きくなるようにバラケテいる事が望まれます。しかし、多くの場合は赤血球同士が数珠状や塊状を作りスム-ズに流れていないのが現状です(押さえ方でも違うので注意)。
赤血球が引気合う力としては水素結合、クーロン力、ファンデルワールス力などが考えられます。元々、赤血球は吸着する力が強く本来、引っ付いて動きやすい性格があります。では何故、赤血球がバラけているのでしょうか?
例えば、煙は無風状態でも広がって行きます。それは煙の粒子が発生したと同時にその表面に静電気が帯電し、静電気同士がぶつかり反発し、玉突き状態になり煙は広がります。帯電の仕方は煙の粒子の表面にプラスが帯電し、その上に同じ数のマイナスが帯電し、マイナス同士がぶつかり合って玉突き状態になり煙は広がって行きます。
この現象は微粒子なら必ず起こる物理現象です。
赤血球も煙と同様に自然発生的に表面に静電気を帯びます。当然、赤血球も細胞であるため細胞膜には脂肪酸やグリセリン(絶縁体)が存在しそこに帯電した静電気の力で反発しバラけるのです。しかし静電気はプラスよりマイナスの方が幾分か動きやすく、血液が流れ血管壁の絶縁体に赤血球表面のマイナスの静電気の一部が動き赤血球表面の静電気のアンバランスが生じ赤血球同士が引き合い数珠状や塊状を作ります。これを体内静電気といいますが、±が揃っている時には赤血球はその力でバラけています。
このアンバランスを解消するのにはイオン化したミネラルが大いに力を発揮します。
栄養素として必要なミネラルを必須ミネラルといい、プラスイオンはカルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛、クロム、コバルト、セレン、鉄、銅、マンガン、モリブデン、ヨウ素、マイナスイオンとして硫黄、塩素の現在16種類とされています。
特に皮膚に必要なミネラルは亜鉛、硫黄、マグネシウム、鉄、マンガン、セレン、塩素で、私は皮膚に必要なミネラルのうち亜鉛、硫黄、マグネシウム、鉄に注目しています。
亜鉛は各種酵素の生成、血中コレステロ-ル量の調整、細胞や生殖器の発達に必要で、体内の300種類を越える酵素の構成成分で遺伝子発現、たんぱく質合成や生命活動、有害ミネラルの解毒や活性酸素消去に必要なミネラルです。欠乏症状として、皮膚障害と味覚障害が知られています。
硫黄はアミノ酸やビタミンB1、毛、爪、皮膚などの構成要素です。
マグネシウムは神経機能の維持や骨、肝臓、筋肉皮膚に必要です。不足は、高血圧や糖尿病、心疾患などの生活習慣病に関与し、硫黄と共に有害ミネラルの解毒に有効です。
鉄は約70%が赤血球のヘモグロビンの形で存在し、酸素の運搬、細胞呼吸、エネルギ-代謝、多くの酵素の形成に関与しています。
ところで、暴飲暴食などにより、血液が酸性に傾きかけると重炭酸塩、アミノ酸、必須ミネラルなどを動員して恒常性を維持します。炭酸塩は炭酸カルシウムや炭酸ナトリウムなどで、この重炭酸塩は予備アルカリと呼ばれます。その材料は水と炭酸ガスで体内には豊富に存在し、重炭酸塩を作るには亜鉛を含む炭酸脱水酵素が必要で亜鉛不足は予備アルカリが生産できなくなり、亜鉛不足や偏食が続いた場合、ホメオスタ-シス機能が衰え体液が酸性側に傾きやすくなります。
さらに炭酸ガスを組織細胞から肺へ運搬し放出するのもアルコ-ルを代謝して無害化するのも亜鉛酵素であり、カルシウム、鉄、の次に亜鉛が多いのもうなずけます。
体内で作用するミネラルは胃酸の塩酸、乳酸回路で乳酸、クエン酸回路でクエン酸とリン酸が作り出され乳酸塩、クエン酸塩、硫酸塩、塩化塩、リン酸塩などのイオンの状態で存在します。
例えば、亜鉛はイオン化した乳酸亜鉛、クエン酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛などが存在します。
また、皮膚を通り抜ける物質の大きさは約60nmで分子量600以下なら通り抜けると考えられます。
つまりコラ-ゲン(分子量は10万程度)、ヒアルロン酸(分子量は100万以上)は、分子量が大きすぎて皮膚内に進入することは決してありません。皮膚の上に乗っているだけです。
例えば、お風呂に入って水で浮腫む人もいなければ、逆に萎んだという人もいないのです。つまり、水溶性の場合は脂肪酸や細胞膜の脂質などが皮膚への進入を防ぎます。
ミネラルやパラベン(パラオキシ安息香酸エステルの総称)は食事で取ろうが皮膚から吸収しようが体内での働きは同じです。
パラベンの抗菌活性の強さはベンジルパラベン(分子量228.24)>ブチルパラベン(分子量194.23)>プロピルパラベン(分子量180.2)>エチルパラベン(分子量166.17)>メチルパラベン(分子量152.15)の順といわれております。
当然、パラベンなどは身体構成成分ではなく体に良いのか? と誰しもが疑問に思っています。パラベンは主として肝臓、腎臓で、一部は筋肉で速やかに分解されます。しかし、静脈に進入した場合は脳にパラベンが、脾臓にはエチルとブチルパラベンが検出されたとの報告があります。
しかし「薬事法」上、化粧品は原則として3年間の品質保証期間が必要なため防腐剤のなかではマイルドなパラベンが使用されるケースが多いのです。
パラベン類をはじめ化学物質の安全性は99.99%が安全であっても残りの0.01%の不安は残されており『ほぼ安全』と理解しておくことが必要だと思います。
水性の場合は吸収されにくいのですが長時間作用すれば少なからず吸収されますし、油性の場合や界面活性剤を使用した化粧品は皮膚内部に吸収される可能性が格段に高まります。
また、全成分表示義務以前には指定成分102種類(身体に良くない可能性があるもの)のみの表示が義務でした。つまり、科学に精通した学者でなければ全成分表示を理解出来る訳がありません。
つまり、指定成分102種類の印象を薄めるために、外国の圧力により全成分表示が義務付けられたと私は考えています。
2004年にインドネシアで津波があり、不幸にも沢山の方がお亡くなりになりました。その際、先進国と後進国の間で遺体の腐敗に大きな差があったと現地で伺いました。特に女性に大きな差が出たとの事でした。つまり、先進国と後進国の差は食品に含まれる防腐剤であり、男女の差は化粧品に含まれる防腐剤と考えられます。つまり我々は生きながらにしてミイラ化されていることになります。
安心安全な化粧品の選び方は、直接肌に付ける基礎化粧品はできるだけ体内成分に類似するものであること。指定成分102種類を出来るだけ含まないこと。血液をきれいに保つ重炭酸塩や皮膚の新陳代謝を促す亜鉛、硫黄、マグネシウム、鉄などを主体とした化粧品であることが望ましいと思います。
次回は使用方法について述べさせて頂きます。