マンスリープログレス「アトピーの真実に迫る」アトピー性皮膚炎の出来方-理論編

 日本アレルギー学会ではステロイド剤をいかにうまく使用するかが議論の中心でした。
 今では、ステロイド剤を使わないでどう治療するかという議論も加わり、ステロイド剤以外の新薬も開発されてきていますが、これという決め手がないよ引こ思います。
 ここで注意していただきたいことは、ステロイド剤は悪いのではなく、ステロイド剤の長期使用が怖いので、短期使用は非常に切れ味さわやかな良い薬だと思います。
 アトピー性皮膚炎は気管支端息やアレルギー性鼻炎などとは異なり、必ずしもアレルギーだけで起こっているわけではありません。アトピー性皮膚炎は直接の原因となるアレルゲンに、いろいろな二次的要因が重なって起こる「複合要因」であることは疑う余地のない事実です。「複合要因」の最たるものがストレスです。
 では、アトピーはどのようにして発症するのか、私の仮説「立毛筋緊張説」を述べます。
 この理論に基づいた方法でケアすると、ほとんど例外なくアトピー性皮膚炎は改善していきます。

 私は25年以上前からアトピーはストレスが大きな要因であると言い続けてきました。ここ15年ぐらい前からストレスも考えなければならないと言われ始めてきていますが、残念なことに、如何にストレスが作用しているのか説明されていないのが現状です。
 そこで、そのメカニズムを簡単に説明いたします。暑い、寒い、は元より、ねたみ、嫉妬、怒り、悲しみ、恐怖、といった感情も大いなるストレスです。それらのストレスに最初に影響するのは脳ではなく”筋肉”です。
 この生理現象を活用したのが、アップライトキネシオロジー、O-リングテスト、胸鎖乳突筋テスト、肌門筋テスト、フィンガーテストなど、すべて筋肉の緊張と弛緩の原理を利用したものです。その筋肉の中でも最初に反応するのが最も小さい筋肉で、毛根と真皮との間に存在する“立毛筋”という平滑筋です。
 収縮によって毛は垂直方向に立って、周囲の毛孔部はやや隆起します。これがいわゆる鳥肌で、周りの体液循環をも阻害し、皮膚を栄養不足に陥らせます。
 人間は保温の術を身に付けたため退化していますが、確実に全身に存在している筋肉で、その筋肉が極度に緊張すると鳥肌が立つといいます。ストレスで本人が気付かない内にこの筋肉が少なからず緊張します。するとそこを通過している血管、リンパ管、組織や神経が圧迫され、血液の循環や体液の楯環が阻害され栄養不足になり、カユミとして感じます。
 このカユミは脳からの皮膚組織の栄養不足を補えという指令で、当然、カユイ所を掻きますが、つい掻き過ぎて、汗腺や皮脂腺を傷つけたり座滅させたりし、汗腺や皮脂腺の機能の低下を招きます。

 汗の成分は主に塩化ナトリウムと少量の尿素、ビタミンCなどを含んだ99.9%が水分です。そのpHは4~6の酸性を示しますが、汗腺の機能低下により、本来できてこないはずの体内の必須ミネラルであるCa(カルシウム)、Ka(カリウム)、Mg(マグネシウム)、Zn(亜鉛)などのアルカリ性を示すイオンが混入し、汗のpHをアルカリ側に傾けます。この汗が皮膚の表面を覆う脂肪酸(酸性)と掻くことにより混濁します。その上、自然の外部エネルギー(体温、気温、紫外線など)が加わることでアルカリ性金属と脂肪酸が化学反応を起こす場合があります。
 一般にアルカリ性金属と脂肪酸が結合したものを石鹸と呼びます。脂肪酸ナトリウム(固形石鹸)や脂肪酸カリウム(シャンプー)などです。つまり、掻きすぎると自分で皮膚表面に少なからず石鹸を作ることになります。よって、脂肪酸欠落により本来乾燥しない皮膚が乾燥しやすくなったり、石鹸が出来たりし、それに気づかず放置していると自己が作り出した石鹸で肌荒れを起こし、また、外的にも紫外線、ハウスダストなど目に見えない刺激が加わりより一層皮膚の状態を悪化させることを繰り返し行います。
 つまり、アトピー性皮膚炎の発症は、「(1)ストレス→(2)立毛筋の緊張→(3)皮膚組織の栄養不足→(4)疹様感→(5)掻く→(6)汗腺の座滅による汗(アルカリ性金属を含む)→(7)汗(アルカリ性金属を含む)+脂肪酸(皮脂)+外部エネルギー=石鹸(脂肪酸+アルカリ性金属)→(8)石鹸で肌荒れ+外的要因」この繰り返しがアトピー性皮膚炎というこということになります。

 そのため、冬より夏の方がアトピー性皮膚炎がひどくなりがちで、その場所は肘の内側、首回り、といった汗をかきやすく、汗を停滞させやすい場所で、なおかつ掻きやすい場所に多く発症します。その他、手が届く範囲や無意識のうちに布団などで擦っている場所などがアトピー性皮膚炎になりがちです。
 ここで大切なことは、アトピー性皮膚炎はアレルギーよりもストレスによる立毛筋の緊張に重きがあるということです。母親が神経質になりすぎると、子どももその影響を受け、アトピー性皮膚炎を助長する可能性があるので気楽に生活していただきたいものです。
 次回は新陳代謝について述べさせていただきます。

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