堀先生のおべんきょう塾「呼吸について」

■原因不明の病気の成り立ち
 イビキは万病の元である。人類は睡眠中に病気を作る唯一の哺乳類である。
 エッと驚かれる人も多いかと思います。しかし、事実です。今日、口を軽く開け気味の若い方をよくお見受けするが、このような方はまず間違いなく大病予備軍と言える。では何故、イビキごときが万病の元なのか?
 哺乳類は人類以外は総て鼻で呼吸をしている。口呼吸は自然界の生物では不自然な呼吸法であり、身体に様々な害をもたらすのである。よく目にするのが夏に犬が舌を出しながらハーハーしている。この現象は呼吸をしているのではなく体温上昇を抑えるためである。つまり、犬の皮膚には汗腺がなく体温上昇を抑えるために舌から体温を逃がしているためで、呼吸のためではない。
 つまり、哺乳類は総て鼻から息を吸い込むのであり、人類は言葉を話すようになり咽頭の位置が後退したために口呼吸をするようになった特殊な動物である。
 ではどうして鼻で息をしなければならないのかというと、喉を直接的な外気で痛めつけないためである。自然界の動物で自己免疫疾患に陥る動物は殆どいない。例外的に親から子、孫に遺伝する遺伝病(ニュージーランドブラックマウス)があるが、あくまで例外であり、おおむね口呼吸にこれまで原因不明といわれていた病気の多くは起因していると言える。

■鼻呼吸のメカニズム
 そのメカニズムについて少し触れておくと、
(1)鼻の穴に生えている固い毛は空気中のゴミを取り除くフルイの役割をする。
(2)鼻の穴を通り過ぎた空気は奥の鼻腔ビコウという広い部屋に入る。この部屋には凹凸の溝がたくさんあり、あたかも自動車のラジエターのようにして入ってきた空気を暖める働きをしている。
(3)また、鼻腔には、無数の粘液腺があってネバネバした液を分泌し、空気にまじって進入してきたゴミや細菌を吸着して、鼻くそとして排出する。
(4)さらに、粘膜も無数にあり、絶えず鼻水を分泌し、入ってきた空気に湿り気を与える働きをする。
 こうして、いくらかのゴミや細菌が除かれ、暖かさや湿り気を与えられた空気が喉頭コウトウから気管に入るので、外気を直接「喉」に当てる事はない。
 つまり、鼻は効率の良い加湿器付き高性能空気清浄機の役割を演じ、「喉」を防御し、外的な刺激による炎症を防止し、免疫疾患や神経疾患の防止をしている。

■咽頭扁桃リンパ輪
 原因不明の難病と言われる病気の主な原因は口呼吸による咽頭扁桃イントウヘントウリンパリン、別名をワルダイエルリング(※発見者の名前、ドイツ人)とも言う。この組織は喉の扁桃腺~喉チンコのあたりに存在し、B細胞免疫の中枢的な役割を担っている組織(リンパ球の免疫にはT細胞性免疫とB細胞性免疫がある)であり、また自律神経の中枢がその近くに伸びてきているため、そこの炎症は自律神経のバランスを崩すだけでなく、免疫系(B細胞性免疫)も誤操作を起こす引き金になる大切な場所である。つまり、ここの場所が慢性炎症に陥ると免疫系の異常、自律神経の異常が起こり、イライラする、身体が何となく重い、だるい、疲れやすい、原因不明の微熱が続く、自己免疫疾患(膠原病)などの症状があらわれ、医者に行くと「原因不明ですね」と言われる事になる。
 存外、現代医学のお医者様はこの存在を知らない方が多くおられるのには驚かされるのが現状である。

■口呼吸をしているか否かのチェック項目
(1)自然な状態でいると口が少し開いて締まりがない状態になる。
(2)前歯が飛び出したり歯のすき間が多い。
(3)下の歯が上の歯より前に出ている受け口である。
(4)片方ばかりで物を噛む、歯の噛み合わせが悪い。
(5)下口唇が上口唇より厚い。
(6)唇が乾燥しやすい。
(7)朝起きると喉が乾く。
(8)上口唇が富士山型である。
(9)物を食べる時クチャクチャ音がする。
(10)アレルギー性鼻炎などの鼻詰まりがある。
 1つでも当てはまれば日常、口呼吸をしている可能性が疑われ、複数の方は口呼吸の割合が多いと言える。チェックしてみて下さい。いくつ当てはまりますか。
 健康維持の第一条件は「口呼吸をしないこと」、第二条件は「慢性筋肉疲労に陥らないこと」、第三条件は「ストレスを抜くこと」、と心して頂きたい。