酵素について「生命現象の担い手」

 消化器官は私たちの食べたものを消化・吸収し、肝臓で解毒作用が、骨髄では造血作用が営まれます。(腸造血説もある)細胞内ではこれらに必要なエネルギーが産生されます。こうした生命活動は酸素を必要とし、これに伴って生成される活性酸素を無害化しなければなりません。これらすべてに必要不可欠なのは酵素で、体内には数千種類あるといわれます。また人体には水分を除けば大部分をタンパク質が占めています。生命現象の一つに「タンパク質を作る」ということがあげられますが、酵素の本体はタンパク質であり、良質のものを適量とることがまず大切です。
 酵素こそ、あらゆる生命現象の実際上の担い手といって過言ではありません。酵素の働きが悪くなれば、生命の灯が細ることになるのです。健康のために各種のビタミンやミネラルが総合的に必要なのも、これらが酵素の働きを助ける補酵素となっていることが多いからです。
 その酵素が最高の活性を発揮するうえで、最適のpH値があります。ところが、血液は弱アルカリ性(pH7.3~7.4)であることはよく知られていますが、臓器にはアルカリ性のものも酸性(pH7.0以下)のものもあります。しかし、ありがたいことに血液のpHが正常値のなかで高い方に保たれれば、各臓器のpHも最適になるよう連動しており、これが血液をきれいに保たなければならない第一の理由と考えられます。それにより、各臓器内の酵素が最高に働き、健康が保たれるのです。
 さらに、血管の外には、血管からしみ出た細胞間質液とよばれる水分があり、この間質液はこれまでは血液のpHと同じだろうと考えられていましたが、最近の研究結果によると、酸素が欠乏したり(呼吸が浅いとき)、乳酸がたまったりする(疲労時)と、間質液のpHは7.0を下回って、実際に酸性域にはいってしまうことが分かっています。これはホルモンの働きにも影響を及ぼし、pHが弱アルカリ性のときに正常に働くインシュリンが、間質液が酸性になると働けなくなるのです。すると、血糖が細胞内に入れなくなるので、エネルギーも作られなくなり、糖尿病患者は疲れやすいのです。しかし、ここに核酸が十分にあると、とくに核酸成分のアデノシンはインシュリンと同じ働きをすることが知られており、アデノシンの末梢血管拡張作用により、血液の流れを良くして正常な弱アルカリ性に戻してくれます。
 私たちの体には恒常性維持機能(ホメオスタシス)があって、血液のpHを一定に保つように働いているいるのですが、酸性食に偏ったり、精神的ストレスが大きかったりすれば、酸毒を解毒、排泄するために腎臓や肝臓に負担がかかります。肺も呼気として老廃物を排出する任にあたります。こうした負担を軽くし、内蔵の機能を高めるためにビタミン、ミネラルを十分に取る必要があります。その中でも重要な栄養素がカルシウムで、これが「pH調節ミネラル」です。
 体液のpH値は主としてカルシウムとリン酸イオンとに支配されています。pH値を上げるのがカルシウムイオンで、下げるのがリン酸イオンです。ところが皮肉なことに、美味しいものにはリン酸が多くあり、うまくないものにはカルシウムが多いといわれています。肉類、清涼飲料水ともにリン酸が多いのです。ただ味覚だけにとらわれ、こういうものを過食している人は体がだるい、朝すっきりと起きられない、やる気が出ないなどの酸性症状に見舞われることになりかねません。いまや「舌で食べる時代」でなく、「頭で食べる時代」といえましょう。毎日カルシウムを補給することは、健康を保つうえで非常に大切なことです。
 血液のpHを調節するミネラルがカルシウムなら、pHを調節するビタミンはKです。血液100ccあたりカルシウムは約10mgあります。このうち6mgはタンパク質と結合した形であり、のこり4mgはカルシウムイオンとして存在します。大切なのはこのイオン型カルシウムで、これが全身を巡っていて、神経の興奮を鎮める、出血を止める、筋肉の収縮、心臓の拍動、免疫の増強など大切な働きにいくつも関与しています。イオン型カルシウムの減少は不健康を意味するのです。
 カルシウムの摂取不足はもちろんのこと、肉食や砂糖の過剰もカルシウムを奪います。すると血液中のカルシウムイオンが減少、このとき、まずタンパク結合型のカルシウムが遊離して血液中に溶け出し、カルシウムイオン濃度を上げるように働きます。タンパク結合型カルシウムが十分になければ、カルシウムイオン濃度は高まりません。このカルシウムをタンパク質に結合させる役目をビタミンKが担っているのです。1993年秋、東大や兵庫中央病院などの研究でビタミンKが骨粗鬆症の予防と治療に効くと発表されたのも、このへんの事情を物語っています。結局、ビタミンKが十分にあれば、血中カルシウムイオン濃度は高く保たれます。これは体液の弱アルカリ性を保持できることを意味していますが、ガン患者のカルシウムイオン濃度の低下はガンを全身病とする所以といえます。
 ビタミンKには止血効果のほかに肝機能の改善、利尿促進、免疫増強、血圧降下などの作用があり、腹水や肝臓機能障害のある患者にも有効です。事実、1日100mgのビタミンKを80回注射することで、自分のガンを克服した医師の報告があります。ビタミンKは緑の植物に多く含まれています。青汁を飲んだり、濃緑色の野菜をふんだんに取っていただくとよいでしょう。また腸内細菌が合成してくれるので、腸内をきれいに保つこと(ビフィズス菌優位)も大切だと考えています。

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