アトピーについて「抗アレルギー剤は効くのか?」

 アトピーの対策ですが、個人の努力でできる部分と、専門医に頼らなければいけない部分とがあると思います。治療しようという場合、いちばん身近なのは薬だと思いますが、いま日本で使用されている薬は、決して患者さんのためだけを考えて作られた薬ばかりではないのではと、疑問を抱かずにはいられないものもあるようです。「医者からもらった危い薬がわかる本」(エール出版社)は一読されてもよいと思います。
 医師が、新薬が開発されたときにどのようにしてその情報を入手したかを調べた結果がありますが、圧倒的に多いのが各製薬会社のプロパー(セールスマン)からです。プロパーは自分の会社に不利な情報はあまり流したがらないのが人情です。次に多いのは医学雑誌からです。医学雑誌なら公平な情報が得られると思われるかもしれませんが、日本で出版されている医学雑誌の大半は製薬会社の資本によるところが大きく、公平な情報か否かは疑問が残るところです。
 このように新しい薬が出ても、医師はその薬に関して正しい知識を知らされていないというのが、少なからずあると考えなければなりません。薬は人体にとっては異物ですから、正しく使用しなければ副作用がでます。ある意味において、薬事法はその副作用を最小限に止めるための法律といえるのです。私を含め多くの医師は、自分のところで使用している薬の副作用について「十分知っている」と胸を張って答えれる医師はそんなに多くないように思います。よくいても10数%程度ではないかと思います。「大体知っている」という医師を合わせても、60~70%ぐらいのように思います。残りの30~40%の医師は副作用についてあまり知らないまま薬を出しているのではないでしょうか。ちなみに一般開業医では約250種類以上の薬が処方されているケースが多いようです。
 いま日本の病院で多く使用されている薬に抗生物質がありますが、この抗生物質で2000人に1人がショック症状を起こしています。抗生物質はあまり副作用の起こらない薬と考えられていますが、これはかなりの高率です。しかも欧米では副作用情報の収集が盛んに行われていますが、日本ではあまり行われておらず、スウェーデンに比べたら30分の1しか報告されていません。それでも2000人に1人ですから、実際にはその30倍、つまり60人に1人くらいは、何らかの副作用が起こっていてもおかしくないという計算になります。
 カゼが蔓延しますと、一般的な開業医では1日約200人の患者さんを診るといわれます。これらの患者さんに全部、抗生物質を投与したとして単純に計算しますと、60人に1人ですから、軽い症状も含めて一開業医でも毎日3人くらいずつ副作用が起こっていることになります。薬物の作用でとくに有名なのが抗ガン剤の副作用ですが、慶応大医学部の近藤誠先生は「抗ガン剤では治療できない」と言われています。効果はほとんどないのに、副作用は26%に起こっているのです。
 こうした例はほんの氷山の一角で、多くの薬による被害が起こっていると考えられます。アトピー性皮膚炎に関係の深いアレルギーの薬についても、データを見ますと循環器系、消化器系、中枢神経系などの薬の消費量はこの20年間横ばい状態であるのに、抗アレルギー薬剤だけはここ数年間に急激な伸びを示しています。そして、わが国の薬の総消費量の64%を抗アレルギー剤が占めているのです。
 ところが、驚いたことに米国では0%です。米国では抗アレルギー剤は効力がないとして国から認可されていないのです。欧州ですらわずかに2.4%です。これから見ますと、日本の抗アレルギー剤の使用量は異常に多いようです。私が患者さんに聞いてみても、アレルギーの薬が効いているという人は少ないように思えます。なぜ、このような薬が日本では認められているのでしょうか。
 薬の効果を判定するには、二重盲検法といって試験薬と偽薬を用いて、それを与える人も飲む人も、どの薬が与えられているか分からないようにして試験されているはずです。しかし、これは個々の症状が良くなったというデータではなく、用いた医師の「全体症状が軽減した」という主観的なコメントによって使用されているところが大きいのではと私は推測しています。現在使用されている薬で根本的に治療できた患者さんが少なすぎるように思えるからです。
 そこで、アトピーの患者さんにとって大切なことは、

  1. 情報交換を患者さん同士が行うこと。つまり同じ症状をもっている患者さんが○○で症状が軽減したよ、××はよけいに悪くなったよというような悩みを打ち明け、意見を交換することです。それだけでも大きな心の支えになります。
  2. 多くの医師の意見や世界的な医学論文の中には大切なものがあります。そういう情報を積極的に収集し提供しあうこと。
  3. アトピーは症状が深刻化し、治療に長時間かかることがあります。そのため日常生活が困難になり離婚、学業面などでさまざまな問題が起きています。こうした問題に対して必要があれば法律の専門家とともに解決策を考えること。かゆくて夜も眠られないような患者さんは、一刻も早く症状がを取れるよう必要最低限のスキンケア用品や水を吟味しておくこと。
  4. 知識ある者が正確に近い情報を提供すること。

 だと思います。そのようなグループを作り、ほかのグループとのネットワークを広げることが、(1)から(4)を獲得するのに大切だと思います。

mn92
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