アトピーについて「アトピーは腸から」

 今回はアレルギーについて少し説明しておきましょう。アレルギーは生体に異種タンパク質が入ってくるために起こります。体の方では異種タンパク質が入ってきては困りますので、これに対抗してリンパ球が抗体を作り防御します。リンパ球は骨髄で作られる白血球の一種で、Tリンパ球とBリンパ球の2種類があり、Tリンパ球はさらにサブレッサーT細胞(抑制)、ヘルパーT細胞(手助け)、メモリーT細胞(記憶)、キラー細胞(殺害)の4つに分類されます。アレルギーではこのうちサブレッサーT細胞に問題があるとされます。その起こり方を牛乳を例に説明しましょう。
 牛乳タンパク質が体に入ってくると、まず処女Bリンパ球と出合います。処女Bリンパ球は表面に1個の処女IgE抗体を持っています。このとき、ほとんどの人では両者がドッキングすることはありません。ところが、アレルギーの素因を強くもっている人では、牛乳抗原とリンパ球がドッキングします。つまり、処女IgE抗体と牛乳抗原がドッキングして感作が成立し、ここにいたって処女IgE抗体は牛乳に対する特異的抗体になるのです。
 抗体にはIgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類があるのですが、アレルギーに多く関係するのがIgE抗体が多い人です。抗体はY字型をしていて、その上部の開いたところに抗原が合体します。平素牛乳を飲んでいる人は抗原が多く入ることにより、合体する率が高いのです。抗原と抗体が合体してしばらく経つと、牛乳抗原もこわれて分散し、牛乳に対する特異的IgE抗体もBリンパ球から離れて血液の中に入り、マスト細胞にくっつきます。すると、マスト細胞からヒスタミンなどの物質が出てきます。これがジンマシンのかゆみを起こしたり、気管を収縮させて喘息の呼吸困難を起こしたりする物質とされています。
 マスト細胞が一番多いのは消化管(胃や腸)の粘膜で、ついで気管、皮膚です。小腸には1平方mmあたり約2万個と特に多くあり、皮膚の約3倍といわれています。牛乳抗原によって感作されたBリンパ球は核分裂を起こすので、牛乳に対する特異的IgE抗体もどんどん増えていきます。抗原(牛乳タンパク)が入ってきても、それが一度きりなら異常は起きません。ところが一度入ってくると、1年~1年半はメモリーTリンパ球が記憶、次に牛乳タンパク質が入ってきたら、いつでも増産できるように準備態勢をとっているのです。牛乳を毎日飲んでいたら、IgE抗体が消える時がないのです。
 マスト細胞は腸管の方が多いので、食事で皮膚にアレルギー症状が起こっているということは、腸ではより重篤に起こっているということです。子供に牛乳を飲ませていて、突然足を縮めて泣き出し、牛乳をやめたら治るというのは、牛乳アレルギーが腸管で起こっている場合が少なからずあると考えてよいでしょう。症状で多いのは下痢や嘔吐、それに腹痛が強いのも特徴で、せきをする子供もいます。下痢でなくても軟便で食欲がなく、体力や意欲もない、癇の虫が強いという子は、アレルギーを疑ってみる必要があります。
 とくに赤ちゃんなどは消化管が十分に完成していないので腸管のすき間が大きく、分子の大きいタンパク質でも通過してしまいます。しかも大人に比べて牛乳を飲む量がかなり多いのです。たとえば、体重5kgの幼児が1Lの牛乳を飲んだとします。これは体重50kgの大人に換算すると、1日に10kgを飲んだことになります。大人ではとてもこんな量は飲めませんが、子供では珍しいことではありません。牛乳をがぶ飲みしていると、異種タンパク質がそのまま素通りして入ってくる機会が多くなります。
 母乳を与える場合でも、お母さんの食べたものは24時間くらいすると母乳に出てきます。抗生物質にテトラサイクリング系がありますが、硬組織に沈着しやすいため、妊娠中や母乳により子供の歯が黄色に着色したりしますので、母乳を与えているときには薬物や食べ物に注意が必要です。ただ、アレルギーに関しては粉ミルクを与えている子と比較すると、ずっと少なく、程度も軽いことは確かなようです。また、人工栄養児は母親との接触が少ない場合が多く、例えば0歳児で保育園に預けられ、粉ミルクで育ち、離乳食も早い子供が増えています。人工栄養児は早くから異種タンパク質にさらされることに加え、母親との接触が少ないと、より一層アレルギーが出やすいことになります。
 また、現代人はほとんどの人がアレルギーの素因をもっています。両親ともにアレルギーの場合、子供は約半数がアレルギーになり、片親がアレルギーだと子供の30%がなるといわれています。両親にアレルギーがなくても、15%の子供がアレルギーになる可能性があるともいわれていますので、ほとんどの子供に素因があると考えた方がよいようです。ただし、素因があってもすべての子供に症状が現れるわけではありません。サプレッサーT細胞が十分にある人は、症状として現れにくく、少ない人にアレルギー症状が出やすいと考えられます。
 アレルギーの予防にはバランスのよい水溶性ミネラルの摂取が大事だと、私は考えています。その代表がレンコン、大根、かぶらなどの白色根菜類です。これらのミネラルはグルタチオンベルオキシダーゼ、アルブミン、SODなどさまざまな酵素活性やマクロファージの活性化を促進する作用があり、B細胞に指令を与える前に異物を退治し、過剰免疫を押さえるのではないかと考えています。

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