アトピーについて「アトピーはダニ、ストレスにご用心」

 アトピー性皮膚炎の原因は、食べ物によるアレルギーよりもダニやカビ、細菌、精神的ストレスなどの方がより強く影響していると考えられます。このダニやカビは近代建築と大いに関係していると思われます。私が小さかった頃は年に1度や2度は畳を上げて大掃除をしたり、また昔の日本家屋は通気性がよく、すきま風が通るのが当たり前で、これがダニやカビの繁殖を抑えていたのです。しかし、近代建築の家はおもにコンクリート造り、アルミサッシで機密性がよく、高温多湿でダニやカビの繁殖には都合がよいといえます。その上、共働きの増加などもあって昼間お母さんが家を空けることが多く、夜間に窓を開放することもできにくいので、1日中部屋を閉め切っていることが多くなっています。
 この母親不在は、子供の精神的な面でアトピー性皮膚炎を治りにくくしていると考えられます。母親がいないということから、子供は不安になり無意識に患部を引っかいてしまい、これが治りを遅らせたり、より悪くする原因と考えられます。子供は日々、見ること、聞くことが新しいことばかりです。大人以上にストレスがかかっており、敏感になっていると考えた方がよいでしょう。症状が芳しくないと、夜子供が寝付かれず、よく起きたりぐずったりします。そこで子供をどなったり、夫婦喧嘩が起こったりすると、一層子供がストレスを感じて症状を重篤にする場合がありますから、夫婦喧嘩はもとより母親は常にそばにいて、子供を安心させてやることが大切なことだと考えられます。
 状況が許すならば、郊外の一軒家で風通しをよくし、子供と楽しく遊んでいれば、自然に治る可能性があるのです。また、近代建築の家やマンションなどはじゅうたんを敷いているところが多いと思われますが、核家族で共働きの家庭ではあまり掃除ができない場合もあるため、家の通気性も悪くなりダニがどんどん増えてきています。このダニは人を刺すような大きなダニではなく、目には見えないくらい小さく、空気中にただよっているのです。これが夜、人が寝て部屋が静まると下の方に落ちてきて、子供の顔や首などに付着するのです。1日1回でも窓を開け放して換気をするだけでずい分違うのです。
 統計では、アトピー性皮膚炎は乳幼児期(0~2歳)小児期(3~10歳頃)成人期(11歳以上)の大きく3期に分けられます。乳幼児期、つまり2歳までは母親の免疫があり、この時期にアトピー性皮膚炎になっても90%は治るといわれます。小児期まで持ち越すのはそのうち10%、さらにそれ以降まで持ち越すのは5%ほどといわれます。しかし、生活環境の悪化とともに発症率は上昇傾向にあると考えられます。しかし、アトピー性皮膚炎は2歳までにほとんど治るわけですが、それには食べ物に注意し、掃除をよくし、環境を整えて、過度のストレスを避けて適度にした方が治りが良いといえます。
 また、幼児期は何でもなかった子が、小児期になってアトピー性皮膚炎になることがあります。これは母親から受け継いだ免疫が低下、それに加えて外に出て遊ぶようになり、紫外線に当たる量が増えるためです。この時期のアトピー性皮膚炎は膝や肘の外側が赤くタダれています。そのほかにも、乳幼児の頃は脂漏性湿疹や日光性皮膚炎など皮膚の障害を起こしやすいのです。脂漏性皮膚炎とは髪の中やひたい、眉毛、こめかみ、胸などに黄色い油の固まりができます。これは人工栄養で早太りの子供に多く見られます。この原因はカロリー過剰と考えられます。これは放っておいても1歳くらいで良くなる場合が多く、油の固まりのできたところに純正な植物油を塗っておくと自然にとれることがあります。無理にとると、細菌感染を起こしたりして、治りを遅らせるのです。
 アトピー性皮膚炎は2歳くらいまでに90%は治るといわれていますが、これを小児期まで持ち越すと皮膚が乾燥してきて、肘や膝の内側(乳幼児期は外側)、手首や足首、えり首などに症状が出るようになり、患部はだいたいザラザラしていますが、所々に赤い急性の症状が混じっています。肥満気味の子供は手首、足首などに溝ができ、そこをかくために赤くなるのです。これら全部に症状がある人は、慢性化して重症になる可能性が高まります。これを持ち越して成人型になると、皮膚はさらに厚く、ザラザラしてくるのです。
 こうした症状にたまらず病院にいくと、多くの場合ステロイド軟膏や抗ヒスタミン剤が使用されます。ステロイド剤は一時的によく効くので、気軽に使われてきました。かゆみや炎症を抑える主作用が速やかに出るのに対し、副作用がゆっくり来るのが落とし穴といえます。副作用が早く出れば誰でもこわいと思うのですが、ゆっくりと現れるのです。これが恐ろしいのです。しかも皮膚の深部までよく浸透するため、色素細胞が破壊され脱色して白斑になり、皮膚移植しなければならない例もあるといいます。
 ステロイド剤を使って治ればよいのですが、治らない場合も少なからずあります。逆に治らないどころか、かえって複雑になり、重症化していくケースが多いのではないかと考えられます。ステロイド剤を長く使用したところほど、治りが遅く、後まで症状が残っているのです。しかも、ステロイド剤は体外に排泄されるのに数年必要という説もありますので、あまり早い時期から安易に使うべきではないと私は考えています。しかし、1度や2度の使用は問題ありませんので、ステロイド剤は絶対にダメという考え方にも問題があると思います。必要なことは掃除をマメにしてダニ類の繁殖を防ぎ、子供に過剰なストレスをかけないこと(適度なストレスは必要)、これが一番肝心だと考えられます。

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