アトピーについて「甘党は老化しやすい」

 人間は何もしないでいても時とともに老化しますが、同年齢でも若く見える人と老けて見える人がいます。とくに老化現象が進みやすいのは糖尿病の人です。糖尿病は血中の糖が多いのですが、砂糖は獣肉と同じく取り過ぎれば血液を濁し、カルシウムを排泄させ、体を病弱にする酸性食品の代表です。健康には砂糖を控えるのが望ましいのです。さらに砂糖の取り過ぎは糖尿病のほか虫歯や脚気症状(疲れ、だるさ)、便秘の危険性を高めるだけでなく、最近の研究ではアレルギーを起こしやすくしたり、老化を促進するらしいことも分かってきました。つまり、体内に糖分(ブドウ糖)が多いと、これがアレルゲンと結合してその作用を強めたり、また糖が体のタンパク質と結びついて、組織の老化を推し進めると考えられています。
 私たちの体の中では、つねに酸化現象が起こっており、たえず活性酸素ができています。これは脂質を酸化させて過酸化脂質を生じます。生体ではこの酸化も老化の原因の1つになります。また過酸化脂質は大変有害な物質で、細胞膜を破壊して細胞の働きを低下させ、これが老化の元凶となったり、肝臓、心臓、糖尿、ガンなど数々の病気の原因となりうるのです。体はこの活性酸素を無害化し、過酸化物を還元するものの1つであるSODという酵素を備えています。この酵素は赤血球の中に多く存在しています。ところが血糖値が高いと、この酵素と糖が化合して酵素機能が低下、悪くすると機能を喪失してしまうのです。
 糖が血中のタンパク質と結合し褐色の物質となる反応をメイラード反応といいます。よくタマネギと肉をいためていると褐色になりますが、これもメイラード反応です。赤血球のヘモグロビンもタンパクですから、血中の糖と反応を起こします。健康な人はヘモグロビンの4~5%がメイラード反応で糖化を受けているのですが、糖尿病の人はより多く糖化されますので、血液中の糖化ヘモグロビンの量を測って糖尿病の診断(HbAlcsと記されます)に役立てられています。つまり、食べ過ぎによる肥満や白砂糖の取り過ぎによって、体内でメイラード反応が過剰に起きると老化を早めることになります。
 体内の反応というのは、ふつうは酵素を触媒として効率よく行われますが、メイラード反応は酵素を介せずに行われる反応で、生体が望むと望まないにかかわらず勝手に反応が起こります。酵素なしの反応はゆっくりと進むのですが、そこは代謝もゆっくりと行われているところです。代謝がゆっくりしているものに、コラーゲンが挙げられますが、ここもメイラード反応を起こし架橋ができてしまいます。これが皮膚の老化現象です。糖尿病の方が白内障を患いやすいのは水晶体のメイラード反応によるところが大きいのです。
 さきに述べましたように、この反応を過剰に起こすとSODの働きを損なってしまいます。SODは若い時は多くできますが、加齢とともに産生されにくくなります。よって歳を取るほど、酸化を防ぐ抗酸化物を多く取る必要があります。ビタミンA、C、E、B2やβ-カロチン、あるいはヨード、セレン、フラボノイド、グルタチオン、ポリフェノールなどを不足しないように取りたいものです。
 もう1つ、老化にかかわるのはストレスです。有名な話しがあります。30歳くらいの人が交通事故にあい植物人間になりました。その後10年間、ずっとベッドに寝たきりでした。その間に彼の主治医はどんどん歳をとって(老化)いきましたが、患者の容貌はほとんど変わらなかったというのです。植物人間になり寝たきりになることで、活性酸素の発生率が少なかったこと、それに加えストレスを感じなかったためと考えられます。それだけ活性酸素やストレスは老化を進めるということです。
 老化は結合組織の変化だという説があることを先週述べましたが、ストレスで結合組織は大きな影響を受けます。ストレスが加わると、体は副腎皮質ホルモンを分泌してこれに対抗しようとします。この時に平素からステロイドホルモン製剤を使用していますと、種々のストレスが加わった時に、生体がそれに対応し必要なステロイドホルモンを合成する能力が衰えていますので、同製剤の長期服用は大変危険で避けるべきです。ストレスは単に精神的なものばかりでなく、食べ過ぎ、飲み過ぎ、疲労、不眠、薬物、農薬、食品添加物などに幅広く含まれます。その中で最大のストレスとなるのは抗ガン剤、放射線です。
 こうしたストレスに対して、体は懸命に副腎皮質ホルモンを合成しますから、私たちはその原料となるものを十分に補給しなければなりません。それには、まずタンパク質であり、ビタミンC、E、B群(B6、パントテン酸、ニコチン酸)です。そして、この副腎皮質ホルモンが合成されるときも、また分解されるときも体内の酸化が進みますから、前述したいろいろな抗酸化物質を取っておくことは、ここでも必要になってきます。
 こうしてストレスをできるだけ避け、ストレスに対抗できる栄養を取ることが、皮膚の老化を遅らせることにもつながるのです。これはアトピー性皮膚炎にも同じことがいえます。この老化のことは、よくエントロピーの法則を用いて説明されます。これは物理の熱力学の法則で、少々難しいので次回に説明します。

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