アトピーについて「皮膚はマイナス」

 前回述べましたシミをなくすにはどのようにしたらよいのでしょうか。汗はおよそpHが4.0から4.5くらいの酸性を示しますが、時としてアルカリ性に上がってくることがあります。これは汗の中にNa、Ka、Mg、Zn、Feなどのプラスイオン、つまり、アルカリ金属イオンが溶け込んで出てきます。このアルカリ金属が汗をアルカリ性に近づけ、より一層皮膚の状態を悪化させます。そこで役立つのが水溶性のマイナスイオンのミネラルです。ここで、興味のある見解を紹介しましょう。
 東洋医学的電気病理に、皮膚は電気的に健康な場合、表面がマイナスで内側がプラスで存在するという考え方があります。この考え方ではアトピー性皮膚炎や炎症、ビランなどの異常のある部位ではこれが逆転し、表面がプラスに帯電しています。つまり、皮膚表面をマイナスの状態に保っていれば皮膚が正常に近づくという考え方です。低濃度の塩化ナトリウム水溶液に電圧をかけその中央を半透膜で区切り、水を電気分解しますとプラス側にマイナスイオンが引っ張られ、マイナス側にプラスイオンが引っ張られます。つまり、プラス側に酸性水ができ、マイナス側にアルカリ水ができることになります。こうして得られた酸性水を皮膚に付けると、皮膚表面のプラスを中和するという考え方です。
 しかし、電気分解を強くやりすぎるとpHが下がりすぎます。言うまでもなく、超酸性水や超アルカリ水は殺菌効果が強く、特に超酸性水はアトピー性皮膚炎の細菌感染や細菌繁殖を防止するのに役立ちます。つまり酸性電解水は、MRSAなどの細菌やウイルスを実験室条件で瞬時に殺す能力を示しますが、その活性は「pH2.7以下と高酸化還元電位(プラス1000mV以上)による」とされています。
 このことを検証する目的で、1995年に開催された機能水シンポジウム京都大会で堀田国元先生(国立予防衛生研究所生物活性物質部)が「酸性電解水の殺菌機構の解析」を発表されました。この研究によると、酸性電解水にアルカリ電解水を加え中和してみたところ、酸化還元電位も同時に低下するにもかかわらず、殺菌力は十分に維持されると述べられています。この結果から、「低pHと高酸化還元電位は強力な殺菌力をもつ電解水をつくるための指標として有効だが、殺菌力の主因ではない」と主張されています。最も殺菌力が強いのは酸性水7に対してアルカリ水3の割合に混ぜた場合だと言います。つまり、pH2.7以下では皮膚に付けると強刺激となり、症状をより一層重篤に作用させる場合があり、超酸性水は注意して使用すべきであるというのが今日の皮膚科学会の見解です。
 また、東洋医学で言われている経路というものは、見ることも触ることもできないもので、いろいろな考え方がありますが、わたしたちはこれを微弱電気の流れと概ね解釈しています。その電流量は1µA(100万分の1A)といわれています。例えば、食べ過ぎなどにより、胃の動きが低下し、経路に歪みが起こったとしますと、経路から皮膚の表面に信号が送られ、痛みとして現れたりします。その部位が経穴(つぼ)と呼ばれる点と考えていただいて良いでしょう(別の考え方も存在します)。また、胃が悪いときに胃裏が痛くなるのは内臓表皮反射のためだという考え方もあります。いずれにせよ、これらの現象は微弱電流によるところが多く、皮膚の正常を左右するキーポイントの1つである可能性は否定できません。よって、この人体を流れる電流と同じμAのマイナスイオンを皮膚表面に作用させることができれば、皮膚に温和に作用し、アトピーやシミ、シワなどの皮膚の改善が可能であると考えられます。
 作用は少し違いますが、海水に浸かるアトピー療法も海水に含まれる種々のイオンに着眼し、ほぼ同じ効果であると考案されたものです。海水はマイナスイオンとプラスイオンが同量入っているため、劇的な改善は望めませんが、長く海水に浸かっていますと皮膚表面がマイナス過剰になり正常化に向かう場合があります。鍼灸でも、金針を真皮の部分に埋め込んでおく治療法(皮内針)がありますが、これと原理的には同じで、皮膚表面にマイナスイオンをどんどん補うという考え方です。例えば、内臓に異常があり経路が歪み、その反射部位の血流や新陳代謝が低下することにより、部分的にシミとなって残ることになります。小ジワも同じようなプロセスでできてきます。肝臓の機能が低下している人は頬にシミができる、子宮の発育不全の人は目の下にクマが出る、食べ過ぎたり甘いものを食べ人は口の端に吹出物が出る、冷え症の人では顎に吹出物が出るなどです。
 このように内臓と皮膚には密接な関係があります。よって、シミや吹出物の出ている皮膚表面は、目に見えない症状を示していることもあり、その部位に単なる栄養クリームを塗るだけではその場しのぎの対症療法に過ぎません。つまり、皮膚にできたそれらを根本的に治療するためには、内臓を良くしなければならない場合があるのです。そこで、皮膚表面がプラス側に傾いているシミや吹出物のある所にマイナスイオン(酸性水7+アルカリ水3)を塗りますと、プラスイオンを中和させ、マイナスイオンを放出します。それによって皮膚の外側は正常なマイナスに帯電し、このエネルギーはさらに経路の異常を整えるように働きかけるため、血行障害も取り除かれ、新陳代謝も活性化します。そうすれば、また栄養や酸素が十分に運ばれてきて、皮膚細胞の新陳代謝は旺盛になり、やがてシミも押し上げられて、垢となって抜け落ちていきます。超酸性水より酸性水7+アルカリ水3は刺激が少なく、かつ殺菌力も強く、皮膚の表面だけでなく微弱電流の作用により、経路に働きかけ体の内部に作用する可能性もあるといえます。超酸性水単独より効果的のようです。

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