ミネラルについて「イオウはグルタチオン・ペルオキシダーゼ」

 皆さんもご存じのように、別府温泉などで鼻をつく臭いがイオウです。卵を煮炊きしたときの独特の臭いもイオウです。イオウはグルタチオン・ペルオキシダーゼという酵素に多く含まれ、体内で大きな役割を果たしています。
 傷の治療でオキシドールを塗った経験があると思います。そのとき発泡しますが、その現象は活性酸素の1つの過酸化水素(H2O2)が、水(H2O)と発生起源の酸素(O)に分解し、そのOの殺菌作用によるものです。しかし過酸化水素は傷があるときは殺菌や吐血に有効ですが、生体内で代謝の過程でも発生しており、活性力が強いため早く分解しないと有害で障害を与えます。
 我々の体の中にはSODなど活性酸素を分解する酵素を保有していますが、その過酸化水素を分解するおもな酵素の1つがグルタチオン・ペルオキシダーゼで、この酵素の成分としてイオウが必要なのです。また、よく耳にするタウリンというのも、イオウを含むアミノ酸の1つです。これは肉類や卵に多い必須アミノ酸の一つのメチオニンからシステインを経て生体内で作られますが、胎児や新生児にはメチオニンからタウリンを合成する酵素が少ないため、最近は乳児用ミルクにはタウリンとシステインが添加してあるものが多いようです。含硫アミノ酸の必要量は胎児や乳児期、あるいは妊娠中や産後に高まるといわれています。タウリンは高血圧、脳梗塞、心筋梗塞など循環器疾患に対して効果があるといわれ、昔はコレストロールが多いといわれていたイカやタコにタウリンが多いため、見直されてきています。
 タウリンはスルメの表面についている白い粉です。ドリンク剤にはたいてい含まれています。また、タウリンは胆汁酸の1つであるタウロコール酸の生成に利用されます。胆汁酸は脂肪の消化・吸収を助ける働きがあるので、タウリンを欠かせません。また、高齢になるにしたがい、細胞と細胞の間をつなぎ止めている結合組織のデスモゾームやヘムデスモゾームの結合力が弱くなってきます。この結合組織の中にもコンドロイチン硫酸やヘパリンなどイオウを含んだ物質が多くあります。ヘパリンは血液中で血が固まるのを防ぐ働きをしており、これが減ってくると脳梗塞、心筋梗塞などを助長する結果になります。
 結合組織の中にはもう1つ、ヒアルロン酸があります。これは目のレンズを包み透明のゼリー状になっている物質で、加齢にともない増えてきますが、逆にコンドロイチン硫酸やヘパリンは減少してくるのです。つまり硫酸化合物が減少してくるのです。これはメチオニンやシステインなどイオウを含んだ食べ物(肉類)を取る機会が減るからだろうと考えられます。これらのアミノ酸は動物性食品に多く含まれており、菜食主義者の方は不足する可能性が高いので注意が必要です。イカ、タコの軟体動物やカキ、しじみなどを食べてイオウを確保することは大切なことです。
 先にタウリンはメチオニンからシステインを経て最終産物としてできると述べましたが、ほかにメチオニン→システインから、グルタチオン・ペルオキシダーゼができるコースがあります。白内障にビタミンCやグルタチオン・ペルオキシダーゼが効果がありますが、イオウが減るとグルタチオン・ペルオキシダーゼも減少してきます。若い人の皮膚がきれいなのは、体内にビタミンCやグルタチオン・ペルオキシダーゼが多いからなのです。これが減るとしだいに色あせて、皮膚が衰えてくるのです。
 老化は一種の酸化現象であり、活性酸素やフリーラジカル(遊離基)などにより進行していくと考えられます。これを還元して元にもどす働きをするのが、ビタミンC・E、フラボノイド、SODやグルタチオン・ペルオキシダーゼなどの還元剤なのです。これらが老化防止に使われるのは、還元作用をもっているからです。皮膚にはビタミンCが良いといいますが、それは還元剤にほかならないからです。
 グルタチオン・ペルオキシダーゼはシステイン、グリシン、グルタミン酸の三つのアミノ酸が結合、体内で合成されて作られます。しかし、そのためにはビタミンB1、B2、B6、ニコチン酸、パントテン酸と酸素がなければなりません。またブドウ糖も必要ですが、これは不足の心配はありません。しかし、貧血が起こると酸素の運搬役のヘモグロビンが不足するため、酸素が足らなくなりグルタチオン・ペルオキシダーゼが作られにくくなります。これが貧血の人の肌には生気がないように見える所以です。皮膚にシミなどができるのは、表皮の下にある色素細胞が酸化して褐色から黒色に変わるからです。そこにビタミンCがあれば、これを還元して元に戻してくれます。
 この酸化・還元というのは、持ちつ持たれつの表裏一体のような関係にあり、ビタミンCは相手を還元しますが、逆に自らは酸化されます。その酸化されたビタミンCは、還元剤としての働きはなくなります。これを還元して元に戻すのがグルタチオン・ペルオキシダーゼなのです。したがって、グルタチオン・ペルオキシダーゼがあれば、尿で排泄されない限り、いつまでもビタミンCが働き続けられることになります。
 また、グルタチオン・ペルオキシダーゼは数種類ありますが、なかでもセレン依存性のものは還元力が強く、今日、グルタチオン・ペルオキシダーゼはセレン依存性を指していう場合が多いのです。セレンについては後記する予定です。

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