ミネラルについて「ナトリウム:カルシウム=3:1」

 皆さんもよくご存じの通り、カルシウムを摂取するには牛乳などの乳製品がよいといわれています。それは本当でしょうか? 生きとし生けるものは、ある一部の人間を除き、本能に従い子孫繁栄を目的としています。その観点からいえば、子牛は乳離れをすることなく、成牛になっても乳を飲んでいることになります。象とてキリンとて同じことです。しかし、彼らはある時期がくると乳離れをします。そして、彼らは人類と異なり骨粗鬆症という病気にはかかりません。
 カルシウムは骨にとって大切なことは間違いのない事実で、骨から取ったカルシウムは骨に入りやすい組織親和性があるといわれます。つまり、小魚やフォンドボーなどはよいカルシウム源ということになります。しかし、牛、象、キリンなどは小魚、フォンドボーを食べていません。おおむね草木が主食であり、人間でも禅の修業僧などは菜食主義者ですが、骨が折れたことはあまり耳にしません。骨粗鬆症になりにくいということです。
 それでは、何故一般の人間と違いが起こるのでしょうか。私は近代文明が生んだ車による歩行量の減少による重力対応力の減少が第一の原因と考えています。第二はストレス増大による慢性筋肉疲労、第三は消化吸収力の差だと考えています。そう考えると、本当にカルシウムが多ければ多いほどよいとはいえないように思うのです。
 いま、なぜカルシウムが注目されているのかといいますと、カルシウムがすべての細胞の働きにかかわっているからなのです。細胞の内と外では、カルシウムの量に1万倍の差があることは前に述べましたが、細胞の中にほとんどないカルシウムが、細胞内に微量入ることによって細胞の活動が始まります。その時はカルシウム・チャンネルという特別な通路を通ります。これはすべてタンパク質で作られています。
 高血圧症の人はよくカルシウム拮抗剤が投薬されますが、これはカルシウムが細胞の中に入るのを邪魔する薬です。血圧には最高血圧と最低血圧があり、最高血圧は心臓の収縮力を現していますので、高くてもそれほど問題はなく、比較的よく下がるのです。問題は最低血圧の方です。最低血圧が高いということは血管、とくに細い血管の内腔が狭くなり、抵抗が高くなっていることを示します。血管は平滑筋という不随意筋(自分の意志では動かせない筋肉)でできていますが、この血管の細胞の中にカルシウムがたくさん入り込んでくるために、血管が収縮し、内腔が狭くなっているからです。
 平滑筋の中にカルシウムが流入するのを防ぐのが、カルシウム拮抗剤ということになります。また、塩分(ナトリウム)を取り過ぎると血圧が上がりますが、これにもカルシウムが関係しています。体液中にナトリウムが増えると(ナトリウムはわりあい細胞内に入りやすいので簡単に流入しますが)邪魔になりますから、ナトリウムを細胞外に出します。ところが、ナトリウムとカルシウムは交換作用があるため、ナトリウム3分子につきカルシウム1分子が細胞内に入ってくるのです。
 つまりナトリウムを多く取れば取るほど、カルシウムが細胞の中に入ることになります。これが血管を収縮させ、血圧を上げることになります。高血圧症の方は塩分を控えるようにといわれる理由です。またこの現象が心筋細胞で起こると、狭心症や心筋梗塞などになる可能性があります。よって、カルシウム拮抗剤はこれらの心臓病の治療にも用いられるのです。
 カルシウムは本来細胞の外にあるべきで、細胞の中に入ってくるといろいろな病気の原因になります。糖尿病の場合もそうです。インスリンの分泌が悪くなると、腎臓の活性型ビタミンDの合成が低下します。するとカルシウムの吸収が低下し、副甲状腺が働いて骨からカルシウムを溶かし出します。これは電荷を失いやすくヒドロオキシアパタイトとなり、血管にたまって動脈硬化、高血圧を起こす結果となり、長らく糖尿病を患っている人には心臓障害や末梢の循環障害(糖尿病網膜症)が出てくるのです。
 つまり、糖尿病になるとカルシウム代謝が異常になって全身病になるのです。これに対して、活性型ビタミンDを与えることもあります。カキエキスは活性型ビタミンDを多く含んでおり、またインスリンの合成に必要な亜鉛も多いため、糖尿病にカキが効くというのは亜鉛の効果と活性型ビタミンDの相乗効果であると思われます。ミネラル不足を防ぐため、食事はゆっくりとよく噛み消化吸収を助け、重力を満身に受け、楽しいことを考えてニコニコペースの歩行運動を継続していただきたいものです。

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