慢性筋肉疲労とエネルギーについて「海の幸はエネルギーの元」

 あなたも脈が飛んだ経験があると思います。わが敬愛する師匠で心臓病専門医として、多くの患者を診てこられた福増博士によりますと、「不整脈や心臓弁膜症などの心臓病は、症状があっても慢性筋肉疲労が原因で、それを解消すれば症状がとれる場合が少なからずある」といわれます。とくに筋肉疲労を起こしているのは、頭顔面の筋肉、鎖骨と胸骨に付いている薄い筋肉、腱、じん帯、骨膜などです。
 体の筋肉は(1)平滑筋-不随意筋-内臓筋 (2)横紋筋-随意筋-骨格筋 (3)心筋-横紋の3つに大別されます。(3)は心臓特有の筋肉です。(2)の骨格筋は体を動かしたり、支えたりしてるだけでなく、体の構造はどうあるのが良いのかをモニターしていると私は考えています。その中心になっているのが、鎖骨や胸骨、茎状突起に付着している筋肉だと考えています。例えば重い頭を細い首が支えています。首は胸鎖乳突筋とか前・中・後斜角筋とかいろいろな筋肉があり、体の中では最もよく動く関節で、頭を前に曲げたり後ろに反らせたり、回転させたり自由自在に動かせます。その反面、コリを生じやすい部分ともいえます。
 つまり、ストレスが加わったり、考えごとをしたり、真剣に取り組んだり、恨み、ねたみといった感情などは首の周囲を緊張させます。こういう状態が長く続くと首の周辺の筋肉が慢性疲労におちいるのです。これが首をはじめ目、耳、鼻、口、顎、あるいは血圧にまで異常をもたらす時があります。こういう場合は、鎖骨周辺、鎖骨が肩先と関節を作るあたりにコリが出て、押すと大変痛がり泣く人もいるぐらいです。
 治療には強い力と弱い力をうまく使い分けることが必要です。始めはソーッと押さえ込む感じで押さえながら、その筋肉自身に異常状態であることを感知させ、筋肉が脊髄反射によって自発的に緩んでくるのを待ちます。それでも筋肉が緩まない場合は、筋肉自体をもみほぐすように強い力を加えていきます。それを交互に繰り返し緩むまでていねいにあせらず行います。
 不整脈のある人は胸壁や腹壁の筋肉に疲労がたまり萎縮しているために、慢性的に胸壁の筋肉に起因する呼吸不全や、横隔膜の動きが制約されて腹式呼吸ができず、不眠(深い睡眠時は心臓を休める)も重なって出てくると考えられます。腕をよく使う仕事をやっている人や、また色々なことに不平不満や恨みをもちやすい執着質タイプの人は、慢性筋肉疲労を起こしやすいと考えられます。
 そこで、食事療法として不整脈にはイカ、エビ、シジミなどの魚介類を取るようにすると良いといわれています。これらには多くのAMP(アデノシン1リン酸)が含まれており、これが役に立つといわれています。また魚類にはエネルギー通貨のATP(アデノシン3リン酸)がありますが、これは長くATPの形では存在せず、すぐに分解します。つまり、リン酸が1つとれてADP(アデノシン2リン酸)になり、さらにもう1つとれてAMPになります。
 その上、この分解はさらに進んでAMPがアデノシンとイノシン酸の二つに別れます。鯛やヒラメの高級魚ではATPはすべてイノシン酸になっているといいます。ところが、イカ、エビ、貝類ではここまで分解してしまわないで、AMPの状態で止まっています。これを食べると腸へ行ってアデノシンになり、速やかに吸収されます。アデノシンには血管を拡張する働きがあり、血行がよくなり、エネルギーが多く取り出せるようになるのです。イカ、エビを食べた後、体が温かくなるのは血行が良くなるためです。筋肉の慢性疲労を解消しアデノシンによって血管が拡張され血行が改善されると、細胞間質液もアルカリ性になり、エネルギーがどんどん産生されるようになります。核酸食品もアデノシンを多く含んでいるのでエネルギー産生に大いに役立ちます。
 不眠症があったり、過労で寝つかれないという人は、不整脈が出やすいのです。つまり、不整脈は心臓のエネルギー不足が原因と考えられます。この状態が長く続くと筋肉は疲労しすぎてしまい、弛緩しようとして一時的に筋収縮が起こり、この後に弛緩します。これがふくらはぎで起こると、いわゆる「こむら返り」になります。心臓だと突然死につながります。
 鎖骨周辺や肩関節をつくるあたりのコリ、胸部のコリを解消し体液循環を改善し、無意識に1回の呼吸が胸式から腹式に連動した動きになるようコリを解し、イカやエビを食べてアデノシンを補給、さらに睡眠をうまくとることでエネルギーが多く産生されるようになれば、不整脈も改善される可能性が高まります。次回は体液循環に重要な「水」について述べる予定です。

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