疲れやすい人と疲れにくい人の差は「赤、白が決め手」

 あなたはマグロが好きですか、それとも鯛が好きですか。私はマグロのような赤身の魚が好きです。それはエネルギー量が多いからです。マグロなどの回遊魚は長距離を泳ぐため筋肉が発達していなければならず、その筋肉を増強するために毛細血管が発達し赤色に富んでいます。その反対に近海の魚は泳ぐのが回遊魚にくらべ少ないため、毛細血管が少なく白身魚といいます。つまり、筋肉には白筋と赤筋があるのです。
 マグロと鯛の例のように、マラソンのような持久的なスポーツは赤筋の多い方が有利といわれています。赤筋が多いほど人の体は弾力性があり、コリや痛みが少ないとされています。逆に、短距離競走などのように瞬発的な力の必要な運動は、白筋が多い方が有利といわれています。しかし、白筋が多いと酸化、変性しやすく、コリや痛みが出やすく疲れやすいのです。
 では、なぜ白筋が増え体が老化変性していくかといいますと、原因はストレス、酒、タバコ、食べ過ぎ、睡眠不足、過激なスポーツなど、生活の不摂生によるものと関わりがあるといわれています。これらは活性酸素と少なからず関係があると考えられます。これを抑えるにはビタミンC、E、フラボノイド、カロチン、SOD様食品、EPAやDHA、AHCC(キノコ抽出の植物性多糖類)などを取るとよいと盛んにいわれています。
 筋肉が固くなると血液・リンパ液の循環が悪くなり、その場所は酸性に傾きます。つまり酢酸が産生されます。そうするとアセチルCoAが産生されず、TCAサイクルが回らなくなり、ミトコンドリアでエネルギー源のATP(アデノシンサンリンサン)が産生されません。これがいわゆるコリ、慢性筋肉疲労の始まりです。そのまま放置しておきますと、酸性を中和するためにカルシウムが集まり、その結果カルシウム化合物が沈着します。これを「異栄養性の石灰化」といいます。これらのコリのために冷え症、むくみ、痛み、しみ、しわなどが出るようになります。
 ところで、昔から治療することを「手当て」というように、手には治癒力を高める力があるようです。子供の具合の悪いとき、おかあさんが頭やおなかに手を当て、症状が軽減したという経験をお持ちの方もおられるでしょう。手には人の温もりがあります。肌に触れるというのは愛情の伝達でもあり、科学的には手から赤外線が放射されており、気功師が治療を行うときには平素より掌から放射される赤外線が増大するといわれています。また、赤外線には体液成分の水分子を細かくするという働きがあり、体液の循環を促進させるとともに、指圧力により固くなった筋肉をほぐすのに役立ちます。
 最近多いのは肩こり、腰痛などですが、その原因は仕事やスポーツのやりすぎ、けがによる筋肉の位置異常、筋肉の慢性疲労、骨格の歪み、あるいは老化によって筋肉に変性が起こる場合などです。筋肉が老化、変性すると凝ってきますが、これがさらに続くと筋肉は萎縮して痛みが出るようになります。スポーツなど筋肉の使い過ぎによるものはアイシング(冷却)で予防しますが、それ以外の痛みが生じたときはマッサージや指圧、筋肉の位置異常の治療などを行います。
 ところで、正常な筋肉が縮んでくると硬結を生じます。これを触っているとジャリとかヌルとした感じがし、押さえるとズーンと響きます。これを「トリガーポイント」といい、それらを含む疲労した筋肉を「慢性筋肉疲労」とわたしは呼んでいます。異常な筋肉の中には存在しこれが痛みを発したり、体調をくずす元になります。
 長期にわたり筋肉のコリが続くと、交感神経が優位になりイライラしたり、不眠になったり、高血圧になったりします。これを落ち着かせるには副交感神経の興奮を高めてやるとよいのです。その一手段としては、先週述べました恥骨、座骨、呼吸筋群の慢性筋肉疲労を解消し、呼吸をスムーズにできるようにすることが、ストレスや精神的緊張を和らげ、それに加え筋肉中の毛細血管を増やし、末梢体温を上げ赤筋の量を増やします。
 つまり体液循環の良し悪しは毛細血管やリンパ管の量と筋肉の自働運動に依存しているのです。最近、スポーツの効果について健康に良いという人と、有害だという人と議論が分かれていますが、適度の運動とトリガーポイントを消失させるようなマッサージや指圧が白筋を作らないためには効果的といえます。

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