昼間短時間の上手な睡眠のとり方「周囲の目を気にせずマイペースが肝心」

 あなたは前回までに述べました夜間の上手な朝の起き方が工夫できていますか? もしできていたとしても日中、脳や全身を精神的あるいは肉体的に連続して疲労させれば、それぞれの部位に疲労物質を蓄積させることを回避することはできません。しかも、夜間一度も深い睡眠を十分とることができなければ、日々少しづづでも全身に疲労は蓄積していくのです。
 そこで、昼間休憩を小刻みに繰り返しとることや、できれば子供のように睡眠を短時間でも繰り返しとることなどが必要になってきます。つまり、より効率的に身体を使うためには、また労働しながらより健康になるためには、子供のように生活することが効果的といえます。良く働き、良く休息をとり、しかもより健康になるために、どこでも、いつ何時でも、ちょっと仕事が暇になった時、あるいは仕事を短時間中断してでも、昼間上手に短い時間の睡眠がとれるよう工夫をしてみる必要があります。
 多くの人のなかには、どこでも、いつでも短時間眠ることのできる人をうらやみ、自分にはできないとあきらめている人もおられるようですが、これは気ばかりあせり非効率的であり、また老化を早めます。それができないからと気ばかりあせる人は、一般的に働くことの方をセーブする傾向にあります。また、頭をできるだけ使わないようにしたり、少し疲れたら別の脳の部分を使うことに興味を移すなど工夫して下さい。
 このような短時間睡眠を取るような工夫は、すべて人間が身体を覚醒し続けるために役立つ方法でもあります。またこれらの工夫をすればするほど、上手に短時間に眠ることができます。寝上手と起き上手とは同じことなのです。無意識に眠気の起こらないことをしておいて、上手に休息や睡眠をとることができないと考えている人は、身体の奥へ疲労をため込んでいく工夫をしているといわざるをえません。
 それとは逆に、脳や身体は急激に短時間、すなわち急速に疲れさせると、細胞表面にわずかな疲労をためるのみで副交感神経が遮断をきたし、眠気を催すようになります。したがって、昼間働く時に余分に力をセーブすることなく、短時間激しく労働したり、頭を使い切ったりすると、簡単に眠気がさしてくるのです。この現象は、さきに上手な寝つき方のところでも述べた通りであります。これは眠気のさす前の小児の激しい運動にも共通するものです。この眠気を利用するとどこでも短い時間で睡眠がとれ、また短時間の睡眠後に「深睡眠からの上手な起き方」のところで説明した方法などを応用すれば、すぐに気持ち良く昼間の働きを再開できます。
 ところで、短い昼間の睡眠を上手にとることができない人は、周囲の目を気にしたり、昼間にあくびをするなどは社会的に罪だと考えるような常識を持っている人が多いようです。とくに普段何げなく行っているあくびは頭骸骨を覆っている筋肉を一度緊張させその後、弛緩させるという働きがあります。そうすることにより外頚動脈に血液が多く流れ、内頚動脈には血液が少なくなり、その結果、脳内血流量は減少し酸素分圧が下がります。つまり酸素不足の状態になり、その時脳細胞を守るため、脳内麻薬様物質が分泌され脳細胞を麻酔状態にします。そして睡眠に移行するのです。
 このとき、回りの目を気にしてあくびを我慢したり、ほんの少しの仮眠をとらずにいると、脳内の血流量が減らず脳内麻酔様物質が分泌され難くなり、疲労物質をため込む結果になります。この積み重ねは気づかないうちに、大きなストレスとして作用し、エネルギー不足につながるのです。
 女性差別につながるかもしれませんが、女性の場合にはお互いに干渉しあい、睡眠だけでなく短い休憩さえもとることができないのが一般的のようです。そして慢性の疲労状態に陥ったりしていますが、このような誤った社会倫理こそ、健康維持のため意識改革がなされることが重要なのではないかと思うのです。次回は寝癖による身体の力学的対応について述べる予定です。

mn14
Copyright © 2008-2021 dr-hori.com. All Rights Reserved.