上手な目覚め方、起き方「下半身の血管の収縮が決め手」

 時間さえ許せば、自然に目が覚めるまで眠り、完全に疲労のとれた元気な状態ですっきりと目覚めることも可能ですが、そのようにいかない場合が多いものです。従って、深い睡眠中に目覚まし時計などで強制的に覚醒させられた場合、疲れを一部の筋肉に残したままでも、すっきり目覚めることができ、昼間元気に働けるように朝起きする方法を身につけておくことが必要になります。
 ところが、睡眠中十分に疲労が回復した身体であっても、朝の起き方が悪いために低血圧などになって、ほとんど半日無駄に過ごしたり、1日の大半をボーとして、働きもしないのに疲れをためたりする人がいます。それは副交感神経から交感神経優位への移行がスムーズにいかない人です。逆にパッと起きれる人は高血圧が考えられます。
 普通、誰でも深い睡眠から目覚めた直後には、交感神経、副交感神経ともに抑制された状態から、副交感神経の作用が亢(こう)進してきます。また、浅い睡眠から目覚めた時は、すでに副交感神経が興奮した状態にあり、全く神経から刺激を受けない弛緩状態にあった血管や筋肉に、副交感神経からの刺激が伝えられます。この結果、全身の皮膚の血管や内臓への血管が拡張し、骨格筋や内臓の平滑筋が、軽くゆったりした収縮弛緩の蠕動運動を発現します。
 しかし、この前段階の状態で急に上半身を起き上がらせたりすると、下半身の血管の収縮が十分でないために、全身の血液が(血液も主成分が水であるために)高い所から低い所へ流れ、脳への血行が急激に減少し、脳貧血の状態になるのです。一度この脳貧血状態を経験すると、脳の自律神経中枢や大脳皮質の神経細胞が酸素不足の状態に陥り、脳内麻薬様物質が急激に分泌され、交感神経、副交感神経ともに抑制され、正常な働きができなくなります。
 驚くことに、その疲労回復のためには、ほぼ4~8時間刺激の少ない時間が必要となり、半日からまる1日昼間の働きを無駄にする結果となります。こうした状態を防ぐには、起床時に15分から20分間、横になったまま朝の自然界の刺激を全身の五感に与えることです。
 例えば、日の光を目で感じる、生活音を耳で聞く、アンモニアなどの臭いを嗅ぐ、意識的に手を握ったり開いたりする、手で顔を2、3回パンパンたたく、寝たままで足踏み運動する、足首を動かすなどです。このように床の中で体を動かし、それらの刺激に我々の身体は無意識のうちに五感を働かせて反応し、それにより下半身の筋肉が上半身の筋肉より高度に緊張し、血管抵抗が高まります。これらの動作の後、立ち上がれば脳貧血の状態に陥らないのです。
 こうなると、誰もが寝ているよりも起き上がる方が楽になります。その結果、副交感神経が興奮した状態、すなわち座位や立位の安静な状態に適した身体に自律神経が整えられ、その直後から胃や小腸、大腸の動きが活発になり、便意を催すとともに空腹感も覚えるようになるのです。
 その時に砂糖水(黒砂糖水)を飲むことで血糖値を上げ(糖尿病の方はご注意)、朝の粘り気のある血液を水分で薄め血液量を増やすことにより、血流が良くなり、脳にも血液が入りやすくなり、頭がすっきりとし、さらに昼間の刺激を受けると交感神経優位にスムーズに移行します。
 これらの工夫をしても、うまく移行しない場合に考えられるのは、飲酒による脱水状態に陥っているにもかからわず水分の補給を十分に行わない場合、あるいは疲労物質を肝臓が処理できず尿にも排泄し切れず、血液が酸性に傾き身体が休息を必要とする場合、などが考えられます。このような時は無理をせず、水分を十分とって、体調を整えることが必要不可欠であります。次回は昼間の短時間の上手な睡眠のとり方について述べる予定です。

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