真に深い眠りは心臓を休めるため「臨機応変に取る睡眠が心臓を助ける」

 深い眠りは、究極的には心臓を休める目的のために必要です。心臓は常に24時間働き続けなければなりません。心筋という筋肉の働きによって、血液ポンプとして働き続けるのです。しかし時には心肉といえでも過労になります。それでもなお、心臓は働き続けなければならないのです。
 その心臓が少しでも休息し、エネルギーを貯えるためには、深い眠りが必要です。そして、深い眠りの時には、酸素消費量が最も多い脳神経の作用をできる限り抑制させ、また脳下垂体ホルモンや自律神経の働きによって調整される重要臓器の機能も、できるだけ停止させます。そうすることにより、心臓への負担を最小限にしようとするのが、深い眠りの目的といってもよいでしょう。
 その目的のために、脳内には麻薬様の物質が分泌され、脳神経を麻酔し、自律神経も眠りに入って、交感神経も副交感神経もともに興奮が抑制されます。それが、真の深い眠りの状態なのです。
 深い眠りが常に妨げられると、心肉に貯えられるべきエネルギーがなくなり、わずかな運動による酸素不足でも不整脈を呈するようになり、心臓の異常と思い病院にかけ込みます。しかし、それは間違いです。心臓の欠陥ではなく睡眠が深く関わっているのです。
 不整脈の人の約90%が深い眠りを妨げられているといわれています。少なくとも、1日に一度は真の深い眠りが必要です。その深い眠りを与えることなく、薬物によって心筋の感受性をにぶらせ、不整脈を強制的に抑え、むしろ心臓に鞭打って働かせるような治療法は真の治療法とはいえないのではないでしょうか。「突然死」の大きな原因になるといっても過言ではないと思います。
 筋肉は弛緩するときに、一度収縮してから弛緩するという作業を行います。皆さんがよくご存じなのは、ふくらはぎのこむら返りで、大変な痛みを伴います。それと同じことが心臓で起こると、声を出す間もなく突然死になります。
 では、上手な睡眠の取り方とはいかなるものでしょうか。ある人は、そのためにこそ規則正しい生活をし、早寝、早起きをする生活が一番良いというかもしれませんが、現代のように人々の生活が多様化した時代では、不可能に近く、多くの人は上手な睡眠を永久にとれないことになってしまいます。しかし、事実は逆で、臨機応変な不規則な睡眠をとる方が健康的な睡眠になるといえるのです。
 何故ならば、人間の生活で疲労は必ずしも常に一定でなく、働く量、ストレス、また自然環境から受ける影響も日々変化しています。従って、自然の身体の要求にそった必要十分な睡眠がむしろ大切といえます。また、成人では少々無理をしても、前もって寝だめすることはできないにしても、後で少し長く眠ると疲労を完全に回復することが可能であります。
 つまり、病人のように疲れを感じ長く寝たとしても、病気になったと考える必要はなく、十分な眠りによって疲労が完全に回復されるのであれば健康体であるといえます。ところが多くの人々は、このような状態になるとすぐ病気になってしまったと不安になり、薬で治そうとしたりするのです。
 そして、多くの医者までがその要求に応えようと、興奮剤を与えたりしているのが現状です。これでは本当の病気になっても仕方ありません。身体の自然の要求に、柔軟に心静かに従うように心がけることが大切だと考えられます。睡眠の役割をいろいろと説明しましたが、次回は実践的な寝付き、目覚めのポイントについて述べる予定です。

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