堀先生のおべんきょう塾「パーキンソン病と脳について」

脳とは

 ものを考えたり、感情を持つところである。
 体内の様々な器官を総合的にコントロールし、生命活動を維持している重要な組織であり、大脳(80%)、(中脳)小脳、脳幹(ノウカン)からなっている。

大脳皮質

 人類の進化に伴い大きく発達した大脳皮質を新皮質といい、表面にうねうね見えるのが大脳新皮質で、高度な知性活動を営むところである。その厚さは2~5mm(平均約2.5mmでピンクがかった灰白色を呈している)で、ここには約140億個の神経細胞がぎっしり詰まって、神経と神経の連絡を常にとって情報交換を行っている。
 脳の最小単位はニューロンと呼ばれる神経細胞である。

大脳基底核

 大脳の内側は白色~灰白色を呈しているので白質と呼ばれる。
 その中心部にあるのが大脳基底核と呼ばれるところで、走ったりする時に考えずに出来るのはここの働きによる。

大脳辺縁系

 別名を旧皮質といい、食欲や性欲などの本能的活動や快楽や怒りなどの情動、記憶などと関係している。
 大脳皮質の下に包み込まれている。進化的には古い皮質である。
 この場所の海馬(カイバ)と呼ばれている部分は、最近の事を記憶する働きをする大切な場所である。
 大脳皮質と大脳基底核と大脳辺縁系などで、一千数百億もの神経細胞が想像を絶する複雑な回路で結ばれている。
 大脳は左右に分かれ(大脳半球)、奥にある脳梁ノウリョウ部で連結している。
 大脳皮質のシワを伸ばすと新聞紙1枚ぐらいの大きさになる。
 小脳は大脳の後下方にあり、成人男性で約135g、女性で約122gで脳全体の約10%の重さだが、ここには脳全体の50%以上の神経が集中している。
 脳幹は約200gで、脳全体をキノコに例えるなら柄に当たる所で、かたちも大きさも、人の親指に似ている。
 延髄エンズイは脳と体を結ぶ神経の連絡路である。
 日本人の脳の重さは平均で、男性で1,350~1,400g、女性で1,200~1,250g、脳のシワは表面積を多くし、情報をより多く詰め込むためのものである。
 但し、脳の重さと知能は必ずしも比例しないと言われているので、頭の小さい人も悲観しないでよいでしょう。

神経伝達の方法

 神経伝達はニューロンを通して行われているが、ニューロンの先端はシナプスといい、ここはピッタリ結合せず少しの間隙がある。
 情報が来るとここで微量の神経伝達物質が分泌され、それが次のニューロンにくっつき伝達される仕組みになっている。
 身体部位の組織は再生可能だが、神経細胞は再生しない。
 生まれた時に出来た神経細胞と一生付き合う事になる。
 しかも30歳を過ぎると1日に10万個~20万個の神経細胞が死滅し続ける。
 そのスピードをゆるめる為には、平素から脳を良く使うことである。
 そういう意味では「おべんきょう塾」はもってこいの材料である。
 脳をよく使うこと。

脳の保護

 脳そのものは大変軟らかい組織であるが、脳は何重にも保護されている。
 表面から、

  1. 毛髪
  2. 皮膚
  3. 頭骸骨
  4. 硬膜
  5. リンパ液
  6. クモ膜
  7. 髄液
  8. 軟膜

 の順に覆っている。
 軟膜とクモ膜の間には髄液が、クモ膜と硬膜の間にはリンパ液が流れ、クッションの働きをして脳を守っている。

脳の栄養

 心臓から送られた血液の20%、毎分750ccもの血液が流れ込んで脳に栄養を補給している。

大脳皮質の作用場所

 大脳半球は前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉の4つの部分に分けられる。
 主な作用を有する12の場所、

  1. 臭覚
  2. 創造
  3. 考える
  4. 言葉を話す
  5. 運動
  6. 感覚
  7. 判断
  8. 見る
  9. 言葉を聞く
  10. 音を聞く
  11. 味覚
  12. 記憶

 等である。

左脳と右脳

 人は無意識のうちに左右どちらかの脳をよく使っている。これを「利き脳」という。
 利き脳は腕組みをすると分かる。右腕が上に来る人は利き脳は左脳、物事を理詰めで考える傾向にある。左脳利きの人が、創造力やヒラメキを身につける時は、左手で歯を磨いたり、鍵を開けるなり、積極的に左手を使い、右脳を活性化させる事。左利きの人は、右脳の活動が旺盛である。左利きの人の納梁の断面積は右利きの人に比べて約11%も大きい。右利きの人は左脳が活発に使われる。また、左脳の側頭面というところが広いのである。算数の苦手な方は右指の体操をしましょう。但し、必ずしも利き脳は利き手と一致しないので注意が必要です。